整形外科の痛みにオピオイドは必要か
研究の背景:オピオイドは国の恥?
先日、ついに担当編集者から「幅広く話題を扱うように」というご指導を受けてしまった。
そうはいっても、私は6年ほど前に東大整形外科の教授選に落選して以来、すっかりグレてしまっている。世の中に恐いものが、家内以外に存在しない。いつも、とんでもないことばかり考えている。自分では崇高だと思っている持論が、人が聞くと荒唐無稽、無意味に過激で公序良俗に反するらしい。私が「幅広く話題を扱う」と、間違いなくボツである。
私は酒が弱く外飲みは超苦手だが、家飲みは唯一の生きがいである。家飲みしながらご高説を垂れるのが何よりの至福のときである。家飲みに付き合ってくれている恐い人から「そんなことは絶対に外でしゃべるな」と、いつもくぎを刺されている。自制心がなくなる前に肝硬変で死んでほしいと願っているに違いない。
というわけで、今までは強固な自制心を持って、「ロコモ」や「プレガバリン」などの当たり障りのない陳腐な小ネタにとどめてきた。今回は、担当編集者と恐い人のご意向を勘案して、「麻薬と整形外科」というマイルドな話題にする。
紹介する論文(JAMA 2018;319:872-882)は、整形外科では超メジャー疾患である慢性腰痛と変形性関節症痛の患者を対象とした、オピオイド鎮痛薬と非オピオイド鎮痛薬とのランダム化比較試験(RCT)である。これらの疾患の国際治療ガイドラインでは、総じてオピオイド鎮痛薬の使用には否定的である。背景には、薬物依存、過剰摂取による死者数の増加が挙げられる。特に米国では深刻な社会問題となっており、例の大統領は「国の恥だ」とまで明言している。
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川口 浩(かわぐち ひろし)
1985年、東京大学医学部医学科卒業。同大学整形外科助手、講師を経て2004年に助教授(2007年から准教授)。2013年、独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)東京新宿メディカルセンター脊椎脊髄センター・センター長。臨床の専門は脊椎外科、基礎研究の専門は骨・軟骨の分子生物学で、臨床応用を目指した先端研究に従事している。Peer-reviewed英文原著論文は300編以上(総計impact factor=1,510:2018年4月現在)。2009年、米国整形外科学会(AAOS)の最高賞Kappa DeltaAwardをアジアで初めて受賞。2011年、米国骨代謝学会(ASBMR)のトランスレーショナルリサーチ最高賞Lawrence G.Raisz Award受賞。座右の銘は「寄らば大樹の陰」「長いものには巻かれろ」。したがって、日本の整形外科の「大樹」も「長いもの」も、公正で厳然としたものであることを願っている。
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