〔編集部から〕このシリーズは、世界各国で活躍する医務官によるリレー形式のエッセーです。“究極の総合診療医”でもある医務官が、在留邦人に対する医療活動や赴任先でのエピソードなどを紹介。各国の医療事情や現地の写真なども盛り込み、医務官の目を通じて医療の在り方を考えます。
"中進国のわな" 病院はきれいで安いけど
在イラン日本国大使館 竹川僚一
2018年04月26日 06:10
プッシュ通知を受取る
8名の先生が役に立ったと考えています。
タヒ(モウコノウマ)保護区:モンゴル(著者撮影)
産婦人科医として勤務していた20年ほど前に、休暇は必ずタイの島々で過ごす同僚が、「(タイの)大使館の医者という仕事があるそうですよ」と、とてもうらやましそうに話してくれました。留学できるほどの探究心はないけれど、海外生活には憧れていたところに聞いた「医務官」の話には、ずいぶん惹かれるものがありました。するとそれからすぐに、「在外公館医務官募集」が同窓会誌に掲載され、母校での面接の後に担当教授から快く「僕も若ければ行きたいくらいだよ。良ければ2年後に赴任してください」と、内定をいただいてしまいました。
しかし、よくよく考えてみると、以下のような心配がありました。
・卒後研修は産婦人科単科で、新生児を除けば男性を診察したことがほとんどない
・学位論文の査読担当の先生に「英語がmiserableです」と書かれた
・子供3人を海外に連れて行っても大丈夫か(赴任時は4人に増えていた)
それでも、女性以外も診られるようになりたいと思っていたのと、何よりもう決めてしまって「行くしかない」状況でした。大学からの出向で2年間の任期付きだからなんとかなるだろうと、外務省にとってはずいぶん乱暴で迷惑な話だったと反省しています。
…この続きを読むには、ログインまたは会員登録をしてください
ログイン
初めての方はこちら
ご利用は完全無料です。登録いただくと記事全文を閲覧いただけます。
今すぐ登録