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お口で治す心内膜炎?

神戸大学微生物感染症学講座感染治療学分野教授 岩田健太郎

 2018年08月30日 19:20
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イメージ画像 © Getty Images ※画像はイメージです

 2004年に日本に帰国したとき、ほとんどの医師が「感染性心内膜炎」(infective endocarditis; IE)という疾患概念を知らなくてびっくりした。循環器のドクターですら「見たことがない」と言う人が多かった。

 感染性心内膜炎の診断ポイントは血液培養である。心エコーではない。心エコーは血液培養(など)がもたらす新たなニーズであり、最初から心エコーで心内膜炎が疑われ、後から血液培養が取られる、ということはめったにない。あくまで血液培養がIEを想起させる。エコーは確認作業に使うだけだ。

 当時、日本では、血液培養を複数セット取る・・・すなわち、デュークの基準を満たすようなプラクティスをほとんど行っていなかった。確か2002年だったと思うが、僕が日本に一時帰国し東京の某大学病院を訪問したとき、検査室で見た血液培養孵卵器が、単身赴任サラリーマンが住む家具付きアパートの添え物冷蔵庫くらいの大きさのものが1つだけだったことに、大いにショックを受けたものだ。

 現在の日本の医療現場では、血液培養は以前よりずっと普及した。しかし、普及していないところもある。二極化である。前者においてIEは割にコモンな疾患であり、後者においてIEは存在しない・・・。

 とにかく、IEは長期(4〜6週間くらい)の点滴抗菌薬や、場合によっては手術すら必要になる重大な感染症である。よって長期入院もほぼ必須で、とにかく大変な感染症である。感染症医や循環器のドクターにとって、IEは一種の「大物」なのである。CRPが下がったからといって中途で抗菌薬をやめたり、経口薬に変えてしまう医師がいると、僕らは「教科書やガイドラインくらい読んでくれよ。常識ないの? IEに経口薬とか、ありえないっしょ」と嘆くのである。

 そこへ、デンマークからのこの論文である。

「そんなことなかんべ。IEは経口抗菌薬でも治せるべ」と、われわれの「常識」に真っ向から挑戦してきたのである!

Iversen K, Ihlemann N, Gill SU, Madsen T, Elming H, Jensen KT, et al. Partial Oral versus Intravenous Antibiotic Treatment of Endocarditis. N Engl J Med. 2018 Aug 28

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