血管内治療適応を簡単、迅速に予測

緊急大血管閉塞の脳卒中患者をスクリーン

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研究の背景:皮質徴候に基づいた簡単、迅速な予測スケールが必要

 大血管閉塞(large vessel occlusion;LVO)を有する急性虚血性脳卒中(acute ischemic stroke;AIS)患者は、血管内治療(endovascular therapy;EVT)の有効性を示す強いエビデンスがあり、迅速にEVT可能な施設に搬送する必要がある。EVTは遺伝子組み換え組織プラスミノーゲンアクチベータ静注療法(intravenous recombinant tissue plasminogen activator;IV rt-PA)よりも治療可能時間が長く、完全再開通率が高いが、EVTの効果は発症から再灌流までの時間に依存する。

 LVOが疑われるAIS患者は、EVTが24時間365日可能な脳卒中センターへ直接搬送されるべきである。しかし、脳卒中センターには脳卒中患者を全例受け入れるキャパシティーがない場合があり、一方でLVOを有さない患者の搬送は臨床的に有益ではなく、時間とコストがかかる。一方で、発症24時間以内に病院に到着したAIS患者の10%にしかEVTが施行されていないという。EVTが可能な病院が不足し、病院前の緊急脳卒中搬送システムが確立していないとう問題があることから、より良い緊急脳卒中搬送システムを開発し、病院前システムを改善していく必要がある。

 EVTが適応となるLVO患者を特定するには、皮質徴候に基づいた簡単で迅速な信頼性の高い病院前スケールが必要である。救急救命士がLVO患者を予測するために利用可能な幾つかの病院前尺度があるが、判定に時間がかかり、LVO以外の病型(例えば、麻痺など)に共通する要因も含まれている。

 こうした中、日本医科大学のグループが、LVOを予測する救急救命士のための新しい病院前脳卒中スケールである緊急大血管閉塞(emergent large vessel occlusion;ELVO)スクリーン(適格審査、鑑別)を開発した(Stroke 2018;49:2096-2101)。

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