衝撃! エネルギー制限は不要・無用だった
二重標識水法で検討した日本人2型糖尿病患者のエネルギー消費量
2018年11月15日 11:46
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研究の背景:日本糖尿病学会のエネルギー摂取量基準に根拠はなかった
日本糖尿病学会の最初の食事療法についての公式なガイドは『糖尿病治療のための食品交換表(第1版)』(1965年)である。このとき、糖尿病食事療法の原則として、①適正なエネルギー②糖質量の制限③糖質、蛋白質、脂質のバランス④ビタミンおよびミネラルの適正な補給―が挙げられた。この原則は②を除いて〔第5版(1993年)から②は完全に消失する〕現在まで継続しており、現在も日本糖尿病学会では、以下のようなエネルギー処方を「適正なエネルギー摂取量」として推奨している(『糖尿病治療ガイド2018-2019』)。
しかし、このエネルギー摂取量は、以下に示す厚生労働省の食事摂取基準に比べて著しく低い設定である。
よって、当然のこととして、糖尿病患者では一般健常者に比べてエネルギー必要量(エネルギー消費量)が少ないという根拠が必要である。しかし、日本糖尿病学会の『糖尿病診療ガイドライン2016』の第3章「食事療法」に挙げられている参考文献86件をつぶさに見ると、実は前記の「エネルギー摂取量=標準体重×身体活動量」のエネルギー処方をしたものは1件も存在しないことが分かる。すなわち、日本糖尿病学会が「適切なエネルギー摂取量」として推奨しているエネルギー摂取量は、糖尿病患者において適切かどうかは検討されたことがないのである。
おそらく唯一の根拠は、1963年の食品交換表第1回作成委員会において、糖尿病患者のエネルギー必要量は、健常者のエネルギー必要量より約10%低いことが分かったとされたらしい〔日本糖尿病学会の設立50周年記念誌(2008年)の座談会記事〕ことである。しかし、その原著は不明であり、科学的な妥当性を担保することはできない。
そしてこのたび、日本人2型糖尿病患者のエネルギー消費量を二重標識水法という精細な方法で検討したところ、健常者と全く同等であることが判明した。私自身も共著者に加わっている国立健康・栄養研究所からの報告である(J Diabetes Invesitg 2018年8月30日オンライン版)。
日本人の2型糖尿病患者の食事療法を根底から変更することを求める衝撃的なデータであると考え、ご紹介したい。
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