小児アレルギーの平成と令和 堀向健太
東京慈恵会医科大学葛飾医療センター小児科
2019年05月01日 06:00
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平成を彩った3大ニュース
1.小児喘息死が初めて「ゼロ」を記録 2018年(平成30年)
気管支喘息の病態に関し、気管支平滑筋の収縮という概念から「気道の慢性炎症」が基礎にあるという常識が広まったことが大きな治療転換点となった。
その結果、吸入ステロイド薬が広く普及することになり、成人にやや遅れて小児でも使用率が上がり、小児における気管支喘息死は大きく減少した(図)。ブデソニド吸入用懸濁液(パルミコート吸入液)の登場で、乳幼児にも吸入薬の恩恵が受けられるようになったことも朗報だった。
図. 小児喘息死者数の推移
(厚生労働省人口動態統計)
もちろん、ステロイド薬だけでなくガイドライン(GL)の整備や抗ロイコトリエン薬の使用も寄与し、2018年、わが国で初めて小児喘息死が「ゼロ」を記録した。
私が医師になった1998年ごろは、ちょうど吸入ステロイド薬の中でも標準的な薬剤であるフルチカゾンが小児に適応される直前であり、抗ロイコトリエン薬も含め、その前後を強く体感することになった。
さらに、気道炎症を反映する呼気一酸化窒素測定が保険適用され、コントロールの指標が増え、一歩進めた喘息管理ができるようになった。
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