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寝室に潜む食物アレルゲン?

 2019年10月11日 05:00
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研究の背景:「経腸感作」から「経皮感作」へ

 20年ほど前まで、食物アレルギーの原因に関し、妊娠中に母親が摂取した食べ物や母乳に含まれる物質によって「経腸的に」子供が感作されて発症するのではないかという考え方があった。それを受け、2000年に米国小児科学会は、妊娠中や授乳中は食物アレルギーを発症しやすい卵やピーナツ、牛乳の摂取を控え、離乳食の開始時期を遅らせることを推奨した。しかしその後、ナッツに対するアレルギー症状が急増したことが報告された(J Allergy Clin Immunol 2010; 125: 1322-1326)。

 母親への食物除去は食物アレルギーの発症予防どころか、悪化に働いた可能性が高いことが分かってきたといえる。そして、離乳食の開始を遅らせるべきという推奨内容は2008年に撤回された。

 では、母親が摂取した食べ物により子供がアレルギー体質になりやすいと思われた理由はどこにあったのだろうか? 最近になって新たなルートが証明されることになった。

 英国のLackらは、就学前の小児1万3,971人を検討し、乳児期にピーナツオイルを含むスキンケア用品を使用すると、ピーナツアレルギーの発症リスクが6.8倍になり、しかも湿疹も有意な発症危険因子となることを報告した(N Engl J Med 2003; 348: 977-985)。すなわち、「皮膚」をルートにして食物アレルギーが発症しうることを提唱したのである。

 さらに彼らは研究を進め、Consortium of Food Allergy Research(CoFAR)出生コホート研究に参加した、生後3~15カ月の乳児がいる512家庭に関する検討の結果を報告した。彼らはアトピー性皮膚炎(AD)の病歴と重症度、ハウスダストに含まれるピーナツ蛋白質量を調査した上で、ピーナツアレルギーの発症危険因子を前向きに検討したのである。

 検討の結果、ハウスダストに含まれるピーナツ蛋白質量が多く、乳児のADの重症度が高い家庭ほど、乳児のピーナツアレルギーの発症リスクは高くなることが示された(図1)。

図1. ピーナツ曝露濃度とピーナツアレルギーリスクの関係

24244_fig1.png

J Allergy Clin Immunol 2015; 135: 164-170

 つまり、母親(だけでなく家族全体)がピーナツを摂取すると、その家庭内のピーナツ蛋白質量が増加。ピーナツが湿疹を発症した皮膚に付着することで、ピーナツアレルギーを発症させていたということが分かってきたのである。これは「経皮感作」と呼ばれ、一般的にも広く知られるようになってきた。

 ただ、ピーナツアレルギーよりも卵アレルギーに関心が強い医師の方が比較的多いだろう。では、ピーナツ以外の食物アレルゲンはハウスダストに含まれているのだろうか?

 こうした疑問に答える検討結果を示したい。ノルウェーで実施されたEnvironment and Childhood Asthma(ECA)研究に参加した13歳の小児がいる143世帯において、ハウスダストに食物アレルゲン(牛乳、ピーナツ、卵、魚)が含まれているかを検討した報告である。この検討では、「寝室の」マットレスには食物アレルゲンが高率に含まれていることが判明した(魚46%、ピーナツ41%、牛乳39%、鶏卵22%、図2)。

図2. ハウスダストに含まれる各種アレルゲンの割合

24244_fig2.png

Clin Exp Allergy 2014; 44: 142-149

 居間だけでなく寝室でもアレルゲン蛋白質が検出されたという記述を見て、「寝室でこれらの食品を食べているのか?」と思われた方もいるかもしれない。

 実は、他の部屋で摂取した食べ物は容易に家屋内に拡散していくことも分かっている。ドイツにおいて8世帯を対象に行われたパイロット研究では、卵の摂取後にハウスダスト中の卵蛋白質を測定したところ、48時間後には(卵を食べた現場ではない)寝室の卵蛋白質が著増していたことが示されている(図3)。

図3. ハウスダストに含まれる卵蛋白質量の経時的変化

24244_fig3.png

Allergy 2018; 73: 261-264

 では、日本ではどうだろうか?これまで、このようにハウスダスト中の蛋白質量を測定した検討は極めて限られていたが、最近その結果が報告されたのでご紹介する。

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