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レバ刺し禁止は効果なし

神戸大学微生物感染症学講座感染治療学分野教授 岩田健太郎

 2019年12月01日 07:00
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イメージ画像 © Getty Images ※画像はイメージです

研究の背景:アウトブレイクの原因はユッケ、禁止されたのはレバ刺し

 分割時系列解析(ITSA)については既に概説したが(関連記事「その感染対策、本当に結果を出してる?」)、今回もITSAを紹介する。

 といっても、自分の書いた論文だ。宣伝ばかりで申し訳ないが、書いた論文は読んでいただかなければ意味がないので、ここは臆面もなく紹介させていただきたい。

 拙著『リスクの食べ方』(ちくま新書、2012)でも書いたが、2012年の「レバ刺し禁止」には驚かされた。これは2011年3月の腸管出血性大腸菌感染アウトブレイクを受けての決定であった。しかし、その感染は焼肉チェーン店の「ユッケ」を食して起きたのである。ユッケとは、ご存じのように生牛肉を刻んだものに卵黄とかをかけて食べる料理だ。

 おかしいではないか。「肉」料理を食べて食中毒が起きたことを理由に、「レバー」の生での提供、すなわち「レバ刺し」の提供が禁止になったのである。決定に至る経緯は『リスクの食べ方』に詳しいので繰り返さないが、あるハザードの原因以外の食べ物を禁止することで感染対策する、というのは極めて奇妙な理路によるものだった。しかし、矛盾点を指摘したのは、僕が知る限り僕以外にはいなかった。感染症や公衆衛生の専門家たちは、奇妙な理路の矛盾点を指摘したりはしなかった。

 まあ、いい。できてしまったルールは、経緯はどうあれルールである。

 問題はつくったルールが結果を出したか、である。

 もちろん、結果とは「レバ刺しを出さない」ことではない。それは手段にすぎない。結果とは、「腸管出血性大腸菌感染症の減少」である。もっとハードなアウトカムである死亡リスクなどが減っていればなおいい。

 それを確かめるために行ったのが今回の研究である。

Iwata K, Goto M. Did the ban on serving raw beef liver in restaurants decrease Enterohemorrhagic Escherichia coli infection in Japan?: an interrupted time-series analysis. BMC Infect Dis 2019 Nov 8; 19(1): 949

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