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医学生、ザンビアに診療所を建てる 医学生、ザンビアに診療所を建てる

僻地でのハコモノ建設がダメな理由

マケニ村からの教訓

 2020年01月21日 05:00
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〔編集部から〕この連載では、国際医学生連盟 日本(IFMSA-Japan)のザンビア・ブリッジ企画の活動を追っている。活動とは、ザンビア共和国の無医村・マケニ村にヘルスポスト(診療所)を建設し、医療を根付かせる取り組みだ。同企画の代表・宮地貴士氏(秋田大学医学部)はザンビアでの活動に腰を据えるべく、昨年(2019年)6月から当地に長期滞在している。今回は、滞在半年間の活動を振り返る同氏のレポートを紹介する。

1,000万円かかった施設がたった10年で機能不全に

 前回(関連記事「医学生のザンビアでの挑戦始まる」)は、マケニ村の住民は「生活の安心」を求めるために医療施設の必要性を訴えていることを紹介した。同時に、ハコモノを管理する難しさを日本の僻地医療の実態を踏まえ検討した。この6カ月間、多くの医療施設を訪ねる中で安易にハコモノを建てることがいかに表面的な行いか、確証を得た。一方で、一度手を付けた"公共事業"を撤退する難しさも痛感することになった。今回は、答えのない中で暗中模索し続けた日々をご紹介したい。

 昨年9月、マケニ村が所属するモンボシ地域にある医療施設を訪問した。ヘルスポストと呼ばれる簡易医療施設だ。私たちが建設を進めている施設と同じ機能を持っている。正常分娩への対応や下痢・マラリア・HIVなどへのプライマリケアを提供できる。2009年、日本の非政府組織(NGO)が日本国際協力機構(JICA)の支援を得て建設した。

 この施設に勤務するクリニカルオフィサーのジョゼフに案内を頼んだ。ヘルスポストの中に入ると電気が消え、医療器材や患者ノートが床に散らかっていた。さらに、獣のような臭いが漂っていた。診療を行っているような雰囲気はなかった。ジョゼフは人さし指で上を指していた。見上げてみると、天井がなく穴の開いた壁から光が差し込んでいた。「あの穴からコウモリや鳥が天井裏に入り、住み着いてすごくうるさかったんだ。彼らの糞尿のせいで施設も臭くなり、今は一時的に使っていないんだ。修理代を誰か日本人が寄付してくれないか」。

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 衝撃的だった。この施設は総予算1,000万円程度かかっている。それがたった10年で機能不全に陥っているのだ。なぜ、定期的に建物を修繕してこなかったのか。ジョゼフの答えはシンプルだった。「そんなお金ないもん」。

 この建物はセメントやブロック、塗料などを使用している。これらは村では入手できない。壁に亀裂が入った場合には、ブロックを交換しセメントを使い外壁を固める。その上からペンキを塗る。原材料の購入費、さらには都会から運ぶ交通費も必要だ。

 プライマリケアを提供する医療施設は、政府のルールによって患者から診療費を徴収することができない。そのため、施設の財源は100%、保健省に頼っている。毎月、施設の規模に応じて予算が分配されるはずだが、予定通りに来ることはまずない。昨年は1年でたった3回しか予算が下りてこなかったようだ。ジョゼフの言い分も理解できる。

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