COPD増悪が予測できる、たった30秒の診察
研究の背景:COPD患者は嚥下機能が低下している
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪リスクを予測する因子は幾つかある。例えば、過去のCOPD増悪歴というのが有名である。これは、ECLIPSEコホートにおいて数ある増悪リスクの中でも最も強力なものとされている(表1、N Engl J Med 2010;363:1128‐1138)。
表1. COPD増悪のリスク因子

(N Engl J Med 2010;363:1128‐1138)
しかし、過去1年にCOPD増悪があったことが、将来的なCOPD増悪のリスク因子であることは小学生でも理解できるロジックだ。例えば、Brugada症候群の死亡リスクを上昇させる強力な予測因子は心室細動の発症とされているが、心室細動を起こすことが死に直結するのだから当然の理屈である。COPD増悪についても同じで、当然過去に増悪歴があった患者はその後も増悪を起こしやすいし、死亡しやすい。
過去のCOPD増悪歴以外では、胃食道逆流症(GERD)の合併(Thorax 2008;63:951-955)や肺高血圧症の合併(N Engl J Med 2012;367:913-921)などが強力なリスク因子として知られているが、日常臨床で簡便に調べる方法がないか、と誰もが考えていた。
そこで注目されたのが、反復唾液嚥下テスト(Repetitive Saliva Swallowing Test;RSST)である。COPD患者は嚥下機能が低下しており、不顕性誤嚥(mirco-aspiration)が増悪に影響するとされている(Int Arch Otorhinolaryngol 2015;19:74-79)。過去に、簡易嚥下誘発試験(Simple Swallowing Provocation Test;SSPT)によってCOPD増悪のリスクを予測できるという研究結果が報告されたが(Chest 2010;137:326-332)、筋電図、圧トランスデューサー、レスピトレースなどの装置を必要とするため、簡単に実施できる検査ではない。そのため、ベッドサイドや外来でも簡単に実施できるRSSTを検証してみようということになった。
飯塚病院(福岡県)のCOPDコホート(Iizuka COPD)において、以前の後ろ向き研究でRSSTとCOPD増悪の関係が報告されており、これによればRSSTの方がSSPTよりもCOPD増悪の予測に有用ではないかとされている(Clin Respir J 2019;13:321-327)。今回、同施設において、RSSTのCOPD増悪予測能を前向きに検証した(Int J Chron Obstruct Pulmon Dis 2019;14:2777-2785)。
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倉原 優 (くらはら ゆう)
国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科医師。2006年、滋賀医科大学卒業。洛和会音羽病院での初期研修を修了後、2008年から現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、音楽療法士。自身のブログで論文の和訳やエッセイを執筆(ブログ「呼吸器内科医」)。著書に『呼吸器の薬の考え方、使い方』、『COPDの教科書』、『気管支喘息バイブル』、『ねころんで読める呼吸』シリーズ、『本当にあった医学論文』シリーズ、『ポケット呼吸器診療』(毎年改訂)など。










