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「国家戦略としての再生医療」にブレーキを

東京脳神経センター整形外科・脊椎外科部長 川口浩

 2020年01月29日 05:10
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ステミラックに対して承認取り消し要望

 薬害オンブズパースン会議は1月20日、ニプロの脊髄損傷治療用の再生医療等製品ステミラック注(以下、ステミラック)について、承認を取り消した上で、臨床試験で有効性・安全性を再確認するよう求める要望書を厚生労働省に提出した(下記関連リンク参照)。

 ステミラックについては、NatureScienceにおいてもその承認の不透明性が問題視されてきたのみならず、私も微力ながら本サイトの連載において、その経緯の不公正さを指摘してきた(関連記事「予見された日本の再生医療の"最悪の事態"」「Natureに対する厚労省の苦しすぎる反論」)。

 今回の要望書では、ステミラックが論文としても採用されない稚拙な学術レベルの治験によって早期承認された点を指摘して、「承認の取消し、再生医療の期限付承認制度の見直し」を要望している。しかしながら、現実にはステミラックは不公正とはいえ、既に早期承認されてしまっている。市場に放り出され、本来はメーカーが負うべき経済的負担を患者と国民に押し付けて、実臨床現場(リアルワールド)における市販後臨床試験が現在進行中である。

 まず、リアルワールドデータを用いた市販後試験の危うさについては要望書にも指摘されている通りで、これは世界共通の問題といえる。従来の検証型試験に比べて厳密な評価が難しいことは、Natureでも指摘されている。この過誤の回避のためのスクリーニングとして、最低限の学術レベルの治験が必須であったのに、ステミラックは治験がこれに達していないままに承認された、というのが薬害オンブズパースン会議の主張である。

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