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骨形成促進薬についての大いなる誤解

東京脳神経センター 整形外科・脊椎外科部長 川口浩

 2020年05月25日 05:05
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研究の背景:患者が骨折すると骨形成促進薬にスイッチしてしまう

 いきなりで恐縮だが、骨では常に骨吸収と骨形成が起こっており、およそ1~4年のサイクルで新しい骨に置き換わっている(リモデリング:再構築)。この骨吸収と骨形成は互いに相関しており(カップリング)、骨吸収が下がると骨形成も下がり、骨吸収が上がると骨形成も上がる。骨量はこの骨吸収と骨形成のカップリングによって一定に維持されており、両者のバランスが破綻したとき、すなわち、相対的に骨吸収が骨形成を上回ったときに骨粗鬆症が起こる。カップリング機構が存在する限り、骨形成を上げて同時に骨吸収を下げること(アンカップリング)は不可能である。

 骨粗鬆症の治療薬は大きく2つに分けられる。骨吸収抑制薬と骨形成促進薬である。骨吸収抑制薬は、骨形成も骨吸収も下げて(低代謝回転)、骨吸収の低下を骨形成の低下よりも抑える治療法である。代表として各種ビスホスホネート製剤、デノスマブ(商品名プラリア)が挙げられる。一方、骨形成促進薬は、骨形成も骨吸収も上げて(高代謝回転)、骨形成を骨吸収よりも促す治療法である。代表としてテリパラチド(商品名フォルテオ、テリボン)、ロモソズマブ(商品名イベニティ)が挙げられる。この点では、骨吸収抑制薬は「骨代謝回転抑制薬」、骨形成促進薬は「骨代謝回転亢進薬」と言い換えることができる。

 骨粗鬆症治療薬の選択について、現場が混乱している印象を受ける。まず、「代謝回転の低い骨粗鬆症患者には代謝回転亢進薬(骨形成促進薬)を、代謝回転の高い骨粗鬆症患者には代謝回転抑制薬(骨吸収抑制薬)を」という考えがあるが、この判断は危険である。

 骨代謝回転は、血中や尿中の骨代謝マーカーを計測して、基準値より高いか低いかで決められているが、これはあくまで基準値であって正常値ではない。すなわち、骨代謝マーカーは患者ごとの代謝回転の指標とはなりえない。骨代謝マーカー測定の目的は、あくまで1人の患者においてその経時的な変化を見ることによって、治療薬に対する反応性(responderかnon-responderか)や、骨粗鬆症の重症度の進行を見る指標にすぎない。

 また、骨粗鬆症治療薬は「リモデリング」調節薬であり、発生期・成長期、骨折治癒過程に見られる軟骨内骨化を含めた「モデリング」調節薬ではない。さて、今回のテーマは「骨形成促進薬は、骨折や骨切り術後の骨癒合を促進するのか」である。

 事実、私も含めて、骨粗鬆症患者が骨折すると、骨吸収抑制薬から骨形成促進薬にスイッチしてしまう。事実、製薬メーカーは、骨形成促進薬の、骨折治癒や脊椎固定促進への適応拡大を目指して多くの治験を実施している。

 今回のテーマを検証するために、新しい骨形成促進薬であるロモソズマブの、大腿骨頸部骨折の術後骨折治癒促進効果を検討した研究を取り上げた(J Bone Joint Surg Am 2020;102:693-702)。結果は、「大いなる誤解」であることを示すものとなった。

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