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"感染者ゼロ"岩手県知事に聞く

 2020年06月25日 17:27
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  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の収束が依然見通せない中、感染者数が0人(6月24日時点)の岩手県の取り組みが国内外から注目されている。感染第二波が懸念される現在、同県における感染予防対策などについて岩手県知事の達増拓也氏に聞いた。

東日本大震災の経験が危機意識を醸成

――感染者ゼロ、その要因は。

 地理的側面では岩手県は本州で最も面積が広い県土であり、人口が「密」になる機会が少ない。また、山の多い地形が沿岸部の小さな自治体と都市部を隔てている。これらが関係していると思う。

 近隣の県も人口密度は低いが、岩手県は中国や欧米諸国からの帰国者や観光客が少なかったこと、感染拡大の一因と考えられたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」に岩手県民の乗船が確認されていなかったことも要因ではないか。

――「まじめな県民性」も関係するのでは。

 それもあると思う。実直で粘り強い県民性も影響しているだろう。

 また、2011年の東日本大震災の被災経験が大きい。震災や津波を経験したことで県民の皆さんの危機意識が高まり、迅速な動き出しと慎重な行動に結び付いている。いざというときに何が大事で、何をしなければならないのかを県民1人1人が自分で考え、自分で行動することができている。

 震災からの復興計画について、国内外に情報発信を行うなど「開かれた復興」として"オール岩手"の体制で取り組んできた。この取り組みは今回のコロナ禍でも生かされている。

――米経済紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』をはじめ、国外からも注目を集めているが。

 世界から注目されていることは光栄に思う。ただ、感染者が出ないことは好ましいが、決して感染者ゼロを目標にするものではない。誰もが感染者となる可能性があり、感染者第一号となることを恐れないでほしい。(PCR検査で)陽性となることは「悪」ではない。

ホワイトハウス流危機管理で早期から対策

――なぜ早い段階から感染症対策が取れたのか。

 外務省在職時に米・ジョンズホプキンス大学の高等国際問題研究大学院に留学し、故・ブレジンスキー元大統領補佐官の講義やゼミを聴講した。ホワイトハウス流の危機管理を学び、行政による感染症対策の重要性を認識した。そのため2007年の知事就任当初から、今回のような事態に備えた対策を練ることができた。

――具体的な対策は。

 新型コロナウイルス感染症対策として、2月7日に「県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会」を設置した。

 また、政府の緊急事態宣言が出される前の3月30日、東京都や大阪府などから来県した人に対し、来県後2週間の不要不急の外出自粛要請、慎重な行動をお願いするなど、早い段階から決断できたことも感染症ゼロの一因と考えている。3月下旬~4月上旬が感染拡大のピークであったことから、人の移動が増える年度末に外出自粛などの要請を行った効果は大きかったと思う。当時、他県でこのような施策は行われていなかった。

――現在の感染予防策は。

 5月末までは、都道府県をまたいだ不要不急の移動の自粛をお願いするなどしていたが、現在は、「三つの密」の徹底した回避や「新しい生活様式」の実践など、基本的な感染症対策の実施を呼びかけている。発熱外来の設置やPCR検査機器の増設などによる検査体制の拡充、軽症者などの宿泊療養施設のさらなる確保に取り組んでいる。

――PCR検査の件数が少ないとの指摘もあるが。

 そのような指摘はあるが、検査が必要なケースに対しては適切に検査を実施している。本県では感染者が確認されておらず、濃厚接触者もいないことから、結果として検査件数が少なくなっている。

「医師の確保を目指す知事の会」を立ち上げ

――今後、どのような施策を取るのか。

 全国的な医師不足と地域偏在の解消を目的として、今回の事態に先立ち1月31日に、青森、岩手、福島、新潟、長野、静岡の6県知事が発起人となって、「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」を発足させた。COVID-19の流行拡大では、医師多数区域が多い大都市部においても医療崩壊の危機が指摘されたが、医師少数区域(県)においてはさらに深刻な問題になりうる。地域医療を守るため、実効性のある対策の実現を目指し国に積極的に提言を行っていく。

――県民とはどのように連携するのか。

 県民の皆さんが、生活や仕事、学びの場で感染防止策を講じることを支援していく。市町村、関係団体などと連携しながら、医療提供体制の充実を図り、日常生活を支え、地域経済活動の回復に向けた取り組みを行うなど総合的に推進する。

 本県では、国の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」に基づいて対処方針を改定している。その内容については、知事から県民に向けてメッセージとして発信している。今後とも、県の公式サイトやTwitter、県政番組などを活用するとともに、知事が積極的に報道機関の取材に応じるなど、あらゆる機会を通じ情報を発信していきたい。

医療従事者へのメッセージ

 COVID-19治療の最前線で、岩手県民をはじめ全国の方々の生命と健康を守るため尽力されていることについて、心から敬意を表するとともに、深く感謝申し上げます。岩手県も医療従事者の方々を支援し、COVID-19への対応に"オール岩手"の体制で取り組んでいきます。くれぐれもお体に気を付けくださるようお願いいたします。

達増拓也(たっそ・たくや)。1964年6月10日岩手県盛岡市出身。東京大学法学部を卒業後、1988年に外務省入省、1991年に米・ジョンズホプキンス大学国際研究高等大学院修了。衆議院議員を経て、2007年より現職(現在4期目)

内田 浩

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