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MTXは肺の敵か...まさかの逆相関!

 2020年08月21日 05:05
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研究の背景:呼吸器内科にはMTX服用中のRA患者がよく紹介される

 古くからメトトレキサート(MTX)は、肺傷害を起こすものとして呼吸器内科医に忌み嫌われてきた。ブレオマイシンと同じようなものだとすら思っている人もいた。しかし、関節リウマチ(RA)に対するアンカードラッグとして君臨して以来、呼吸器臨床の中になじむようになった

 RA患者は生涯で半数が呼吸器系の異常を経験するということもあり(Am J Respir Crit Care Med 1997;156:528-535)、呼吸器科とは密接な関係にある。そんなMTXを内服しているRA患者が呼吸器内科に紹介されるパターンが幾つかある。

紹介パターン①:肺に線維性間質性肺病変があるがMTXを使用してよいか

 実はこれはまだはっきりとしたエビデンスがないのだが、MTXであろうとなかろうと、間質性肺炎というのはいろいろな薬剤によって起こりうるため、呼吸器内科サイドとしては「使用してもよい」と断言し難い。

 ただ、RAによる日常生活動作(ADL)の低下が大きい状況で、MTXを使用せず手足のこわばりをがまんさせることは避けてもらいたいと思う。注意深く胸部の診察を継続してもらえれば、使用を回避する理由はない。

紹介パターン②:MTX内服患者が急速にすりガラス陰影を呈した

 これは問題である。MTXが原因とは限らないが、薬剤性間質性肺炎の可能性は十分ある。また、免疫抑制薬を内服している患者であるため、非典型的な市中肺炎像をとっている可能性もあれば、ニューモシスチス肺炎(PCP)やウイルス性肺炎を考慮する必要もあるだろう。

 この場合、いったんMTXを中止することになるが、回復後にMTXを再投与してよいかは、医師によって意見が分かれる。確実にMTXが原因であろうと診断できる検査法はないからである。「疑わしきは罰せよ」ということで一生涯MTXを内服しない選択肢もあるが、RAによるADL低下と天秤にかけて考える必要がある。

紹介パターン③:MTX内服患者で胸部CTを撮影したら、肺の線維化が進行していた

 今回取り上げるのは、このパターンについての研究である(Eur Respir J 2020年7月9日オンライン版)。

 RA患者の多くは、胸部高分解能CT(HRCT)で微細な肺病変が発見される。MTXを内服しているさなか、それが数カ月~年単位で進行しているという相談をよく受ける。これがRAに伴う間質性肺疾患(RA-ILD)の自然経過なのか、MTXがその悪化を修飾しているのか、MTXそのものが慢性の肺傷害を起こしているのか、現時点ではまだ結論が出ていない問題であった。「MTXは安心して使用してよい」と考えている研究グループには偏りがあるのも事実で、過去の研究には著者バイアスも入っていたかもしれない。

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