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腰痛治療の「耐えられない軽さ」

tanezumabの第Ⅲ相試験から

東京脳神経センター 整形外科・脊椎外科部長 川口浩

 2020年09月03日 05:05
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研究の背景1:日本の腰痛治療には違和感だらけ

 「専門家」と呼ばれたことがない。何をやっても中途半端で、そのくせ人の批判ばかりしているからだろう。素人のくせに生半可な知識を振りかざして、他の分野にも口を出し続けているかもしれない。でも、日本の医療の「専門家」って、何をする人なのだろう。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の「専門家会議」や「政策分科会」を見ていると、ますます分からなくなる。文系の連中の傀儡となって、科学的根拠もなく国民を脅迫し続ければ、「専門家」と呼ばれるのか。

 さて、厚生労働省の国民生活基礎調査において慢性腰痛症は国民の愁訴のトップである。一生の間に8割以上の人が悩まされ、その経済損失は年間約3兆円に上ると試算されている。

 その治療法が焦眉の課題であることは間違いないが、腰痛の「専門家」によると、その原因の多くが、神経障害性疼痛と心因性疼痛ということになっている。「神経障害性疼痛」は、α2δリガンド製剤〔プレガバリン(商品名リリカ)、ミロガバリン(同タリージェ)〕の適応外処方のためのお題目にすぎない(関連記事「再び"神経障害性疼痛"を問う」)。

 一方、「心因性疼痛」は換言すると「患者の気のせい」ということであろうか。外来で「あなたの気のせいですよ」などと言うと、間違いなくクレームの投書が来る。

 昨年(2019年)、日本整形外科学会と日本腰痛学会の監修による『腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版』が刊行された(関連記事「腰痛診療GL2019が推奨する第一選択薬は?」)。

 このガイドラインは、「プラセボとのランダム化比較試験(RCT)」に限定した対象文献の選択基準やエビデンス評価は画期的だと思うが、その後の「11人の専門家」の投票は製薬企業との利益相反(COI)を勘案して行われたとは思えない。だいたい、全ての薬に11人全員が投票権を持っていることなど、国際基準ではありえない。

 その11人が満場一致(100%)で慢性腰痛に対して推奨している薬は、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬〔SNRI:デュロキセチン(商品名サインバルタ)〕、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(同ノイロトロピン)、弱オピオイド(トラマドール:同トラマール、トラムセット、ワントラム)の3つである。

 SNRIは元来、抗うつ薬である。企業や一部の医者が見てきたかのように言っている「下降疼痛抑制」だの「中枢感作」だのの科学的根拠が理解できない。「気のせい」を緩和する、と説明してくれた方がストンと落ちる。ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液に至っては、有効成分も分かっていない「生薬」どころか「教祖様のご聖水」の領域で、なぜか日本だけで承認・上市されている。「11人の専門家の満場一致」に違和感がないのは、トラマドールだけである。

 つまり、日本の腰痛治療については、学術的基盤があまりにお粗末で、腰痛の「専門家」は言いたい放題である。サイエンスとの間に1mの厚さのアクリル板がある。問題は、臨床現場とのディスタンスが保たれておらず、結果、現場が少なからず感染してしまっていることである。ガイドラインをバイブルと勘違いしている先生が多いということか。「"あはき"へでも行って、ピコピコ、モミモミ、チクチクとイタズラしてもらうのと大差ない」、などと書くと、「匿名」の批判・反論コメントを山のように頂戴する。「匿名」の意見に「表現の自由」などあると思っている医者がまだいるらしい。だいたい、自分の名前を隠さないと反論もできない者たちと、同じ国で同じ職業に就いていること自体が情けない。

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