ついに来る!!インスリン週1回注射の時代
2020年11月11日 14:23
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研究の背景:GLP-1受容体作動薬では既に登場している週1回製剤
この10年で糖尿病治療薬は大きく様変わりした。インクレチン関連薬やSGLT2阻害薬が登場し、GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬による心血管アウトカムの改善作用が報告されて、糖尿病治療薬のアルゴリズムが大きく変化してきたのである(Diabetes Care 2006; 29:1963-1972、Diabetes Care 2009; 32: 193-203、Diabetes Care 2012; 35: 1364-1379; Diabetes Care 2018; 41: 2669-2701)。
こうした変化の中で、今なお最強の血糖改善薬の立ち位置にあるのがインスリン製剤である。2018年からは、2型糖尿病で最初に導入すべき注射製剤は一般的にはGLP-1受容体作動薬であるとされ、立ち位置が少し後ろにはなったものの、GLP-1受容体作動薬の食欲減退効果を考えると、肥満を合併していない2型糖尿病の多い日本人では、相対的にインスリン製剤の出番は多かろう。
インスリン注射の導入については、4T試験以降、持効溶解型インスリンアナログで開始することが一般的になっているが(N Engl J Med 2007; 357: 1716-1730、N Engl J Med 2009; 361: 1736-1747)、その持続時間はせいぜい40時間程度であり、1日1回の注射が原則である。私のように混合型インスリン2回注射全盛時代に医師になった者にとっては隔世の感があるが、実は既に週1回製剤が登場しているGLP-1受容体作動薬においては、1日1回よりも週1回製剤の方が患者の治療満足度が高いことが日本人において報告されている(J Diabetes Investig 2019; 10: 699-705)。その意味で、インスリンにも週1回製剤があればよいのにと最近思うようになっていた。
そんな中、ついにインスリンでも週1回製剤が開発され、第Ⅱ相臨床試験(比較的少数の患者を対象とし、当該薬剤の安全性、有効性、用法、用量を検討するための試験)において良好な治療成績を示したことがN Engl J Med (2020年9月22日オンライン版)に報告された。無事に上市されることを祈りつつ、この成績をご紹介したい。
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