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特定サブセットの大腸がんは手術が不要に?

術前免疫療法で病理学的反応率100%

 2020年11月19日 05:05
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9名の先生が役に立ったと考えています。

研究の背景

 近年、がん免疫療法は目覚ましい進歩を遂げ、多くのがん種の治療体系を変えつつある。これまでのところ、特定のサブセットに属する大腸がん患者に対しては特に免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が非常に効果的であることが報告されている。

 特定のサブセットとは、deficient-Mismatch repair(dMMR、ミスマッチ修復機構欠損)のことで、細胞分裂の際のDNA複製エラーを修復するメカニズム(ミスマッチ修復機構)に欠損が見られる腫瘍をいう。対して、同機構に欠損が見られない腫瘍をproficient-MMR(pMMR)という。この機構に欠損があると、DNA複製エラーの修復が障害され遺伝子変異の蓄積をもたらし、結果として細胞の悪性形質転換が生じると考えられている。

 このdMMRサブセットに属する「治癒切除不能な進行・再発大腸がん」に対し、ICIが、これまでのがん治療では経験したことのない臨床効果を示し、実際に日本でも臨床使用が始まっている。

 しかし、実はICIの恩恵を受ける患者は必ずしも多くないことも指摘されている。その理由の1つは、dMMRは「治癒切除可能な大腸がん」では約15%に存在するが、ステージが上がるとこの割合は低下し、「治癒切除不能な進行・再発大腸がん」に至ると、海外で約4%、日本では特に少なく約3%と、希少フラクションとなってしまうためである。つまり、ICIの治療効果がない、もしくは非常に乏しいとされる残り97%のpMMRの「治癒切除不能な進行・再発大腸がん」患者は、ICIの適応からは外れてしまう。

 2つ目の理由としては、dMMRの「治癒切除不能な進行・再発大腸がん」に対してICIが有効であるといっても、客観的奏効割合は単剤であれば30%程度で、複数のICIを組み合わせて使用した場合でも、50%程度と満足できる数字ではないことが挙げられる。

 今回紹介する論文は、"ICIによるネオアジュバント免疫療法は、「治癒切除不能な進行・再発結腸がん」よりも「治癒切除可能な結腸がん」に対して、より高い抗腫瘍効果をもたらすのではなかろうか"という仮説を検証した大変興味深いものである(Nat Med 2020; 26: 566-576)。

 この仮説のポイントは、以下の3点である。

①現在のところ、免疫療法の適応となっていない「治癒切除可能」な患者を対象としている
②既に根治手術(外科的切除)の前の放射線療法や化学放射線療法が標準治療となっている直腸がんを対象からはずすことで、手術が標準治療となっている結腸がんのみが対象となるため、免疫療法以外の治療によるバイアスの回避が可能である
③ネオアジュバントとは、外科的切除の前に行う補助療法のことをいうが、免疫療法をネオアジュバントとして行うことで、がんがnaïveな状態で免疫療法を受けることになる。また、その後外科的切除を受けることになるため、全例が切除標本で病理学的に効果判定されることになり、得られるデータの客観性が高い

 果たして、ネオアジュバント免疫療法はdMMRおよびpMMRの「治癒切除可能な結腸がん」に対して、有意な病理学的反応をもたらしたのだろうか。

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