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経口的ロボット支援手術は真に低侵襲か

T1-2中咽頭がんに対する治療選択に一石を投じる

 2021年01月12日 05:10
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研究の背景:T1-2中咽頭がんに対する低侵襲治療法として何を選択すべきか

 ヒトパピローマウイルス(HPV)感染の広がりを受け、中咽頭がんの発症数が世界各国で急激な増加を見せている(J Clin Oncol 2013; 31: 4550-4559)。HPV関連中咽頭がんは比較的若年に多く、予後も良好で大多数の患者において治療後長期の生存が望めることもあり、低侵襲治療による治療後のQOLをいかに良好に保つかが大きな関心事となっている(N Engl J Med 2010; 363: 24-35J Clin Oncol 2015; 33: 3322-3327)。

 経口的ロボット支援手術(Transoral Robotic Surgery;TORS)は、T1-2と局所が比較的早期の咽喉頭がんが良い適応である。米国では、2009年に頭頸部がんに対する手術支援ロボット(da Vinci Surgical System)の使用が米食品医薬品局(FDA)により認可され普及してきた。わが国でも頭頸部領域でのTORSは、2018年に医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)で承認され、現在まだ保険適用にはなっていないもののトレーニングを受けた術者により施行され、頭頸部外科学会を中心に教育・管理が行われている。局所早期の中咽頭がんに対するTORSと放射線治療(RT)あるいは化学放射線治療(CRT)の成績を後ろ向きに比較した文献のシステマチックレビューでは、TORS症例および(C)RT症例の生命予後はおおむね同等であるが、有害事象や合併症のプロファイルが異なること、特に最もQOLに直結する治療後の嚥下機能はTORS群が優れると報告されている(Eur J Surg Oncol 2015; 41: 1603-1614Laryngoscope 2014; 124: 2096-2102)。

 これらの背景から、米国ではT1-2中咽頭がんに対する初回治療として、手術を選択した症例の割合が2004年の56%から2013年には87%と有意に増加している(P<0.0001、Cancer 2016; 122: 1523-1532)。しかし、後ろ向きレビューでは、TORSを施行された症例と(C)RT 症例の間で、腫瘍進行度を含め背景因子が異なることが指摘されており、強いエビデンスがまだなかったことからランダム化比較試験の必要性が求められていた。しかし、放射線治療に関するランダム化比較試験において、手術群を含むものは75%が試験の失敗に至っているとの報告(Int J Radiat Oncol Biol Phys 2018; 101: 1018-1024)もあるように、試験そのものの遂行に困難を伴う。そのため、これまで頭頸部がんに対するTORSと(C)RTを直接比較したランダム化比較試験の報告はなかった。

 今回紹介する論文は、ORATORと呼ばれる第Ⅱ相試験において、ロボット支援手術と(C)RTを直接比較した最初のランダム化比較試験の報告で注目すべきものである(Lancet Oncol 2019; 20: 1349-1359)。

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