上部胃がんへの噴門側切除術と全摘術、どちらがお得?
2021年01月19日 05:00
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研究の背景:既存の論文は後ろ向きで、前向き試験はない
現在改訂作業が進められている『胃癌治療ガイドライン(第6版)』(日本胃癌学会)のパブリックコメント用の原案では、「早期上部胃がんに対して噴門側切除を弱く推奨する」と記載されている。術式の選択肢は、胃全摘術(TG)あるいは噴門側胃切除術(PG)だが、PG症例の方が術後のダンピング症状が少なく体重減少が少ないものの、逆流性食道炎が多いという報告が一般的である。また栄養学的には、PG症例の方がヘモグロビン値およびビタミンB12の低下が抑制されることが指摘されている。しかしながら、既存の論文は後ろ向き研究によるものであり、前向き試験のものはない。今回紹介する論文「Multicenter prospective trial of total gastrectomy versus proximal gastrectomy for upper third cT1 gastric cancer」(Gastric Cancer 2020年10月29日オンライン版)は、『胃癌治療ガイドライン(第6版)』改訂作業で評価の対象とした期限後に発表された論文であり、最新の「多施設」での「前向き」観察研究である点で、貴重な報告と思われる。
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