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ドクターズアイ 川口浩(整形外科) ドクターズアイ 川口浩(整形外科)

コロナ禍で潜行する「政治による医療支配」

布石としての感染症法改正

 2021年01月21日 05:15
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研究の背景:「学術専門団体」に違う医師会の行動

 医師会の会長や幹部が、さかんに国民の危機感を煽って新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の抑制に躍起である。最近は、政府や分科会の感染対策の批判まで始めた。これに対して、一部の世論やメディアが敏感に反応している。

「独自に対策も出さないで人任せの批判ばかりのパフォーマンスには呆れる」「医師会は開業医の利益を守るための圧力団体にすぎない」「最前線で身体を張って闘っている医師の中には医師会の会員はほとんどいない」、さらには「医師会は一部の公的病院にだけ負担が集中する現状を維持したいのが本音で、感染者が増えて開業医に火の粉がかかるのを阻止するために国民に危機感を煽っているだけ」などという詮索も含めた容赦のない批判が起こっている。

 確かに、日本医師会の中川俊男会長が「医療崩壊」に加えて「医療壊滅」などと喧伝を始めても、エビデンスのない不毛な言葉遊びにしか聞こえない。私が看過できないのは医師会長が「戦争」という言葉をたとえに使ったことである。

 今回のコロナ禍で絶対に避けなければならないのは、感染者への差別、医療者への偏見、他人への誹謗中傷、治療機会の不公平など、社会の分断を生み出すことである。コロナとの「闘い」が、人々の「争い」につながってはならない。「戦争」という言葉は極めて不適切で、医療人として以前に社会人としての資質・見識に疑問を感じる。もちろん、日本の開業医全員がCOVID-19から逃避しているわけではない。多くの開業医の先生方が、積極的に発熱外来を行って水際でのCOVID-19対策に貢献されている。こういう強い使命感を持った医師会員の先生方には、あの会長の軽率な発言はどのように聞こえるのであろうか。

 問題は「学術専門団体」と自ら名乗っている医師会の行動が、学術的なエビデンスに基づいていないことである。さらに、医師会は政府との役割分担、独自の立ち位置を明確にすべきである。医師会がやるべきことは、COVID-19患者に対する医療提供体制の再構築をエビデンスベースで模索して提示することであり、感染拡大の抑制について政府や分科会の対策に介入したり、批判したりするのは、建設的とは思えない。

 さて、私のこの連載の担当は「整形外科」である。われわれ整形外科医の間にも、「医師会の会員は全国の医師の半分程度なのに、医師会長が医師の総意を代表しているかのような発言は慎むべき」という意見がある。私自身も日本整形外科学会の会員であるが、日本医師会の会員ではない。しかし、戦後間もない1948年にGHQの指示に基づいて日本医師会の中の学術組織と位置付けられた「日本医学会」という組織がある。現在、「日本医学会」には臨床部門(103学会)、社会部門(19学会)、基礎部門(14学会)の計136の専門学会が分科会として加盟している。日本の医師のほとんどはこれらの専門学会の会員であり、私の所属する日本整形外科学会も「日本医学会」に加盟している。GHQの指示を遵守すれば、私は医師会長の発言を「厚顔無恥な他人の戯言」と斬罪すべきでないのかもしれない。

 事実、整形外科の医療現場もコロナ禍の波を大きく被っている。今回、紹介する論文は、ドイツの民間医療機関における整形外科手術に対するコロナ禍の影響を評価したものである(PLoS One 2020; 15: e0238759)。

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