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術後CCRT時の免疫栄養は有用か?

高リスク患者への免疫賦活栄養剤投与を検証

 2021年04月08日 05:05
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研究の背景:がん支持療法としての免疫賦活栄養剤の有用性が注目されている

 消化器がん患者では、栄養状態が術後合併症発生率や死亡率に関連することは古くから知られている(Surg Clin North Am 1986; 66: 1167-1176Ann Surg 1988; 208: 209-214)。これを発展させる形で、特殊な栄養素の投与により患者の免疫能を増強し、がん治療後の合併症の発生抑制、予後改善を目指す試みがなされてきた。

 ω-3脂肪酸、アルギニン、グルタミン、核酸などの栄養素は抗炎症作用および免疫賦活作用を有することが報告されており、これらを含有する免疫賦活栄養剤(免疫栄養剤)は、消化器がん周術期の支持療法として有用であることが知られている。特に、高い侵襲性を伴い術後合併症リスクが高い消化器がん手術において、炎症性合併症の抑制や在院期間の短縮、縫合不全の減少などが示されている(JPEN J Parenter Enteral Nutr 2014; 38: 53-69Clin Nutr 2017; 36: 11-48)。

 しかし、同時化学放射線療法(CCRT)に代表される、悪性腫瘍の非手術治療における免疫賦活栄養療法の有用性に関するエビデンスは十分ではない(Dlg Liver Dis 2014; 46: 667-674)。断端陽性や節外浸潤陽性といった頭頸部がん根治切除術後の高リスク症例に対し、術後CCRTが放射線療法(RT)単独と比べて全生存率(OS)や無増悪生存率(PFS)の有意な改善を示すことが報告されているが、グレード3以上の重篤な急性口腔粘膜炎が41〜77%と高率に生じることが問題視されている(N Eng J Med 2004; 350: 1937-1944N Eng J Med 2004; 350: 1945-1952)。

 この急性口腔粘膜炎は摂食嚥下障害、発声障害、開口障害、味覚障害や耐え難い疼痛を来し、短期的・長期的なQOLの低下に加え、予後の悪化を来す可能性が指摘されている。しかし、現時点でその制御は不十分と言わざるをえない(J Pain Symptom Manage 2011; 42: 548-556Int J Radiat Oncol Biol Phys 2007; 68: 1110-1120Rep Pract Oncol Radiother 2015; 20: 328-339RadiotherOncol 2003; 66: 253-262Cancer 2014; 120: 1453-1461)。

 今回紹介する論文の著者は、CCRT施行時の免疫栄養剤の有用性について、以前に単施設の第Ⅱ相試験を行っている。CCRTを受けた40例の頭頸部がん患者を対象に、免疫栄養剤を3コースの同時併用化学療法前に投与した結果、グレード3〜4の口腔粘膜炎の発現は5例(12.5%)のみであり、既報と比べて明らかに低頻度であったと考察している。

 また、コンプライアンス良好群(免疫栄養剤の投与がプロトコルの75%以上)は、コンプライアンス不良群(投与がプロトコルの75%未満)と比べてグレード3〜4の口腔粘膜炎の抑制傾向が認められ(P=0.082)、1年PFSも良好だったことが示されている(Clin Nutr ESPEN 2011; 6: e171-e177)。

 本論文はこの結果を受けて計画された、頭頸部がん患者の術後CCRT施行例に対する免疫栄養剤投与の有用性を検証した第Ⅲ相多施設共同二重盲検ランダム化比較試験の報告である(Am J Clin Nutr 2020; 112: 1523-1531)。

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