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結局DP号の感染対策は成功したのか

 2021年04月30日 11:40
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研究の背景:ダイヤモンド・プリンセス号での感染をゲノム配列解析で検討

 過去の検証は大切だ。起こったことを正しく検証してこそ、未来にどう対応すればよいかが分かる。医療安全などの領域で根っこの問題分析(Root cause analysis)を行うのも、起きた事象を表層的に捉えるのではなく、どこに問題の核心があったのかを検証することが、将来のインシデント予防に有効だからなのだ。いわば、『失敗の本質』*1(必読!)の探求である。

 2020年2月のクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス(DP)号における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染対策は、関係する政治家や官僚たちが「感染対策がうまくいっていた」とコメントしている。新型コロナ対応・民間臨時調査会の報告書*2でも「うまくいっていた」と結論しているが、その根拠は官僚のコメントであり、定量的な解析に基づくものではない。

 なぜ、政治家や官僚たちが「うまくいっていた」と述べているかというと、流行初期の国立感染症研究所の記述疫学データ*3が、「隔離後の感染は(あまり)起きていなかった」と結論づけていたからだ。が、この結論には幾つかの深刻な問題がある。

1.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)確定症例のうち、発症日が特定できたのがわずか百数十人であり、全体の感染者のごく一部しかサンプリングできていないこと。データ欠損が多いために、素朴な記述疫学データでは多くの見逃し症例が生じてしまう*4。そもそもなぜ、「全員その場にいる」状態のクルーズ船内で疫学データの欠損が生じたのかは、いまだに不明

2.多くいた無症候感染者について検討していないこと

3.PCRでは相当数の偽陰性が発生する点が分かっているが、偽陰性ケースについて検討していないこと

4.実は全ての乗客・乗員にPCR検査をしたのではなく、隔離期間終了後に無検査で下船した者が相当数いた(検査されたのは3,063人のみ*4)こと。ずっと後になってPCRをした例もあるが、これはもちろん「感染していなかった」ことを意味しない

5.そもそも国立感染症研究所自体が、日本政府や厚生労働省と強い利益相反関係にあり、これらの対策に否定的な見解を述べにくいであろうこと

 さて、最近になってDP号での感染について疫学的解析をなした査読付き論文が複数発表されている。今回、紹介するのはその1つで、ゲノム配列解析を行ったユニークなものである。

Hoshino K, Maeshiro T, Nishida N, Sugiyama M, Fujita J, Gojobori T, et al. Transmission dynamics of SARS-CoV-2 on the Diamond Princess uncovered using viral genome sequence analysis. Gene. 2021 May 5;779:145496.

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