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ドクターズアイ 川口浩(整形外科) ドクターズアイ 川口浩(整形外科)

巨大市場「痛み医療」の変革を

「急性疼痛」の応急治療薬はアンメットニーズ

 2021年07月05日 05:00
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まずは閑話:「危険・不安」のまま東京五輪は始まる

 人生は思い通りにならないことであふれている。社会生活をしている以上はなんでも起こりうるという諦観を持っていれば、周りで何が起ころうが、人が何を言おうが、気にならない。ただ最近、ビミョーに気になるものがある。「安全・安心」という壊れたレコードのように繰り返されているお念仏が気になって、平穏な生活が脅かされている。

 前回のこの連載で、国際オリンピック委員会(IOC)と東京2020組織委員会が「安全・安心な新型コロナウイルス感染対策」のバイブルとして発行した「プレイブック(第2版)」のポンコツぶりが、New England Journal of Medicineで酷評されたことを紹介した(関連記事「痛烈批判された東京五輪のポンコツ感染対策」)。

 さらに私はこれに加えて、オリンピック村での絶倫オリパラ変異株の出現を提言して好評を博した(?)。その後、IOCと組織委員会は6月15日に「プレイブック改訂版(第3版、おそらく最終版)」を公表したが、New England Journal of Medicineからの批判も私のありがたい提言も、ほとんど反映されていない。

 最大の問題は、「自己責任」の記載が残ったままであることである。そして、残し方がコスい。第2版の「イントロダクション」にあった「責任とリスク」の項目(P12)は削除されて、第3版では最後の「コンプライアンスと制裁」の項目(P68)に「感染のリスクやそれに伴う影響は完全には排除できないこと、オリンピック・ パラリンピックへの参加は自己責任であることを同意していただくようお願いします」とコッソリ書かれている。

「安全は保障できないけど東京に来て下さい。もし感染しても知らないよ」と言われて、誰が「安心」するのか。通常のスポーツ大会の同意書でも記載する常套句だと主張しているようであるが、今回は「通常」ではない。感染しないための規制や罰則ばかり羅列するのではなく、感染した場合の補償について明記すべきである。たまに手術のインフォームド・コンセントを例に出してこの「自己責任」の記載を正当化する医療関係者がいるが、患者さんに「安全・安心」と言って手術する医者はいない。航空機事故だって、国際線はモントリオール条約で、国内線は国内法と航空会社の約款で、補償が義務付けられている。「自己責任」などありえない。

 などと泣いてもわめいても、当事者である都知事が過労で倒れても、天皇陛下が懸念を示しても、「危険・不安」のまま東京五輪は始まる。こんなん、いつものことである。日本の政治は「大東亜の平和と安定のため」と絶叫してインパールに向かって突き進んだころから変わらない。聞く耳など持たない。

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 政府の御用学者として名高いあの分科会長がギリギリになってパフォーマンスはしてみたが、政府に「この恩知らず!」と一喝されて(あくまで個人の印象です)トーンダウン。この1年、彼を含めて、いわゆる「医療の専門家たち」の意見はガン無視されて、結局は「ブツブツ言ってただけ」である。全てのコロナ対策は政府の意向のみで決まり、迷走・混乱を繰り返した。政治家も役人も医者の言うことなどには耳を貸さない。日本の医療は政治の支配下に置かれたままである(関連記事「コロナ禍で潜行する"政治による医療支配"」)。

 政治による医療支配は「高齢者医療の偏重」を生み出してきた。これまでの国政選挙を見ると、20歳代、30歳代の投票率は60歳以上の約半分である。つまり、若い連中は選挙に行かず、年寄りは選挙に行く。大票田である高齢者を、政党や政治家が、国民の大関心事である医療政策において優遇するのは当然である。日本に巣食ってきた「シルバー民主主義」の弊害を、医療はモロに被っているのだ。そこにコロナがやって来て、長年すっかりないがしろにされてきた感染症医療や救急医療が機能不全に陥ってしまった。最終的には「欧米の科学技術に頼ったワクチンがゲームチェンジャー」って、カッコ悪すぎる。

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