ゼロエイズは可能か

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

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研究の背景: 90-90-90戦略は日本の新規HIV感染者をゼロにできるか

 以前に日本のHIV/エイズの疫学について解説したことがある。一般的にいわれる90-90-90 treatment target−感染者の90%の診断、そのうち90%に治療薬である抗レトロウイルス薬(ART)を提供、さらにその90%でウイルスの抑制−という戦略では不十分だとする数理モデル論文の紹介だった。(関連記事「90-90-90で日本のHIV感染は減るか?」)

 しかし、たとえ90-90-90が「ゼロエイズ」を達成しなくても、方向性そのものは間違ってはいない。つまり、感染者を早く見つけ、診断し、治療することこそが、HIV新規感染者を減らし、「ゼロエイズ」をもたらす最善の一手であり、(有効なワクチンがない)現時点で取りうる唯一の手段だということだ。90-90-90がだめだ、というのはあくまでも程度問題の話にすぎない。

 というわけで、今回はわれわれが行った研究の紹介だ。日本で新規HIV感染者をゼロにできるか、という数理モデル研究である。昨年(2020年)出した論文なのでちょっと古いが、コロナの話ばかりに忙殺され、紹介しそびれていた。

Iwata, K and Miyakoshi C. Can Japan Achieve Zero Transmission of HIV? Time Series Analysis Using Bayesian Local Linear Trend Model. Kobe J. Med. Sci., Vol. 66, No. 5, pp. E175-E179, 2020.

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