デュルバルマブ地固め療法、肺臓炎リスクをRWDで検証 Ⅲ期NSCLC維持療法:HOPE-005/CRIMSON 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 齋藤 合 氏 三浦 理 氏 田中 希宇人 氏 先生方のプロフィールはこちら 〔編集部から〕複数のがん専門医の視点による解釈をご紹介する本企画。第4回は、Lung Cancer誌に掲載された、局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)の化学放射線療法(CRT)後の維持療法として標準治療となった抗PD-L1抗体デュルバルマブについて、同薬承認後の実臨床における肺臓炎リスクを含めたリアルワールドデータ(RWD)で検証した「HOPE-005/CRIMSON」研究の結果に関する論文を取り上げます。解説は、田中氏と論文の筆頭著者で千葉大学病院呼吸器内科の齋藤合氏、新潟県立がんセンター新潟病院内科部長の三浦理氏という名だたる顔ぶれで、まさしく「注目論文徹底検証」です。ぜひご一読ください。 【論文名】Real-world survey of pneumonitis and its impact on durvalumab consolidation therapy in patients with non-small cell lung cancer who received chemoradiotherapy after durvalumab approval (HOPE-005/CRIMSON) 【出典】Lung Cancer 2021; 161: 86-93 2018年8月、切除不能な局所進行(Ⅲ期)NSCLCに対する根治的CRT後の地固め療法において、免疫チェックポイント阻害薬で抗PD-L1抗体のデュルバルマブが承認され、標準治療となった。 この承認の基となったプラセボ対照第Ⅲ相ランダム化比較試験PACIFICでは、CRT施行後に進行が認められなかったⅢ期切除不能NSCLC患者を対象に、地固め療法としてのデュルバルマブ追加の有効性が検証され、無増悪生存(PFS)、全生存(OS)のいずれも有意な改善が示された(関連記事「Ⅲ期NSCLCの維持療法に新たな標準治療」)。 しかし、デュルバルマブによるCRT後の地固め療法については、安全性の懸念がある。第一に、PACIFIC試験では対象をCRT施行後にグレード2以上の肺臓炎が出現しなかったCRT完遂例に限定している。第二に、同試験では放射線量を66Gy以内とし、またV20(20Gy以上照射される肺体積の全肺体積に対する割合)が35%以下であることを適格条件の1つとしている。さらに同試験では、根治的CRTが施行された患者の36%が、放射線以外の要因〔全身状態(PS)が2以上など〕で適格基準外と判断されていることから、管理された放射線療法が行われ、かつPSなどの条件が良い患者が対象になっていることが分かる。 また免疫チェックポイント阻害薬による肺臓炎の頻度は、臨床試験のデータよりも実臨床の方が高いことなどが報告されている。さらにCRT後の地固め療法としてのデュルバルマブで生じる肺臓炎は、実臨床ではより高頻度に重篤例が認められる点も懸念される。 そこで齋藤氏らは、HOPE(Hanshin Oncology Clinical Problem Evaluation group)に参加する国内17施設の共同で多施設観察後ろ向きコホート研究HOPE-005/CRIMSONを実施。デュルバルマブ承認後の化学放射線療法/デュルバルマブ地固め療法による肺臓炎の実態に関して調査し、その結果をLung Cancer(2021; 161: 86-93)に報告した。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×