エコーで虫垂を描出できますか~?!

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 今回はエコーによる虫垂の描出法を紹介しましょう。

 もともとエコーは水や実質臓器の描出が得意で、空気は苦手とされてきていました。ところがある程度、見かたが分かるようになると空気も診断に役に立つことを肺エコーのところで紹介しました(参照記事「肋骨骨折、エコーで診断したことがある人、手を上げて!」、「ポケットエコーを使いこなせ!」)。消化管に関しても空気の見え方、そしてリニアプローブを使いこなすことでいろいろなことが分かるようになって来ています。

 さて、虫垂炎です。心窩部から始まる痛み、そして徐々に右下腹部へ限局。併せて吐き気や嘔吐、そして発熱。右下腹部の圧痛があれば、急性虫垂炎が鑑別診断の一番に挙がりますね。通常は「造影CTを撮って確定診断!」というところではないかと思います。それでもCTへのアクセスが悪い場合、あるいは妊婦さんや小児など、エコーで虫垂描出できた方がいいに越したことはありませんよね。

 特に小児では腹痛の疾患は多く、例えば腸間膜リンパ節炎などは、虫垂炎と同じように右下腹部を痛がることが多いです。そのときにエコーで腸管膜リンパ節がグリグリ腫れている所見+正常虫垂で診断ができます。虫垂描出の方法を知っておけば、鬼に金棒です。

白石 吉彦(しらいし よしひこ)
 離島総合医。1992年に自治医科大学卒業後、徳島で研修、山間地のへき地医療を経験。1998年に島根県の隠岐諸島にある島前診療所(現・隠岐島前病院)に赴任。2001年に同院院長。周囲のサテライトの診療所を含めて総合医の複数制、本土の医療機関との連携を取りながら、人口6,000人の隠岐島前地区の医療を支えている。
 2014年に第2回日本医師会赤ひげ大賞受賞。著書に『離島発 いますぐ使える!外来診療小ワザ離れワザ』(中山書店、2014)、『THE整形内科』(南山堂、2016.5、編集幹事)、「離島発とって隠岐の外来超音波診療 動画でわかる運動器エコー入門」(中山書店、2017)。

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