Drip & driveで迅速アクセス、最良の転帰を

ドイツの脳卒中診療システム

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研究の背景:注目されてこなかった第3のパラダイム「drip & drive」

 大血管閉塞(large vessel occlusion:LVO)による急性虚血性脳卒中患者では、静脈内血栓溶解療法(intravenous thrombolysis:IVT)に加えて血管内治療(endovascular therapy:EVT)を行うことで転帰が向上する。そのため、いかにして両治療への迅速なアクセスを確保するかが課題となっている。

 これまで急性虚血性脳卒中患者に対する治療・搬送パラダイムとしては、EVT施行までの時間を短縮して包括的脳卒中センター〔comprehensive stroke center(CSC):24時間365日IVTとEVTが可能な施設〕に直接搬送する「mothership」と、患者をまず最寄りの一次脳卒中センター〔primary stroke center(PSC):24時間365日IVTが可能で、EVTの体制はあるが神経血管内治療専門医(interventionalist)が不在〕に搬送してIVTまでの時間を短縮し、EVTが必要な場合は最寄りのCSCに転送する「drip & ship」という2つが主に議論されてきた。しかし、第3のアプローチであるEVTに対応可能な神経血管内治療専門医を患者が搬送されるPSCに派遣する「drip & drive」パラダイムは注目されていなかった。

 今回、ドイツ北西部に在住する虚血性脳卒中が疑われる患者を対象に、「drip & drive」パラダイムによって最良の転帰が得られるかどうか、また、どのような条件下で最良の転帰が得られるかを解析した(Stroke 2020; 51: 275-281)。

橋本 洋一郎(はしもと よういちろう)

熊本市民病院神経内科。1981年鹿児島大学医学部卒・熊本大学第一内科入局、1984年国立循環器病センター、1987年熊大第一内科、1993年熊本市民病院神経内科。専門は脳梗塞、頭痛、禁煙支援、リハビリテーション、医療連携。急性期病院の医師として脳卒中診療ネットワーク構築の中でいろいろな活動を行っている。日本脳卒中学会・日本頭痛学会・日本禁煙学会の理事。

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