感染症対策は脳卒中予防に有効か

COVID-19時代に感染症と脳卒中の関係をレビュー

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

レビューの背景:感染症と脳卒中の関係理解は喫緊の課題

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック時代において、感染症と脳卒中の関係を理解することは喫緊の課題である。ただし、これまでに幾つかの感染症が脳卒中リスクと関連することが分かっており、この関連性は新しい概念ではない。

 また、感染症と脳卒中には双方向の関連性がある。感染は脳卒中を引き起こす可能性があるのと同時に、脳卒中は免疫抑制を引き起こして感染リスクを高める。

 これらの短期的な影響とは別に、脳卒中後の免疫変化が脳卒中患者の長期的な認知転帰にも悪影響を及ぼし、脳卒中後の神経変性および認知症リスクを高める可能性があることを示唆する新たなエビデンスが得られている。また脳卒中時の感染症は、脳卒中後の免疫調節不全を悪化させ、認知機能低下リスクをさらに上昇させる可能性がある。 

 こうした中「脳卒中の危険因子および脳卒中後の転帰決定因子としての感染」という時事問題レビュー(topical review)がStroke2020; 51: 3156-3168)に掲載されたので紹介する。

橋本 洋一郎(はしもと よういちろう)

熊本市民病院神経内科。1981年鹿児島大学医学部卒・熊本大学第一内科入局、1984年国立循環器病センター、1987年熊大第一内科、1993年熊本市民病院神経内科。専門は脳梗塞、頭痛、禁煙支援、リハビリテーション、医療連携。急性期病院の医師として脳卒中診療ネットワーク構築の中でいろいろな活動を行っている。日本脳卒中学会・日本頭痛学会・日本禁煙学会の理事。

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