蛋白質制限は患者に害をなす医療? 2型糖尿病の腎機能低下を予防するなら高蛋白質食! 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 研究の背景:CKDの進展予防には蛋白質制限食が推奨されてきた 20世紀のころから糖尿病性であれ、非糖尿病性であれ、慢性腎臓病(CKD)の発症・進展予防には蛋白質制限食が推奨されてきた。実際、日本腎臓学会の『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018』の第3章「栄養」のクリニカルクエスチョン(CQ)2において「CKDの進行を抑制するためにたんぱく質摂取量を制限することを推奨する」と記載されている。 しかし、実は日本糖尿病学会の『(科学的根拠に基づく)糖尿病診療ガイドライン』では、微妙に蛋白質制限食に対するスタンスが変化してきており、2013年版では「たんぱく制限食は1型糖尿病患者の腎症の進行を抑制する可能性がある。また、2型糖尿病患者でもたんぱく制限食の指導が勧められる」(p98)としていたものが、2016年版では、「たんぱく質摂取制限は腎保護のために有効である可能性はあるが、エビデンスレベルは低く、今後の臨床試験の集積が必要である」(p202)とトーンダウンし、2019年版でも同様の記載である(p156)。 そのような状況の中で、KDIGO(Kidney Disease Improving Global Outcomes)の2020年版Clinical Practice Guidelineにおいては、CKDを合併する2型糖尿病患者には0.8g/kgの蛋白質制限が提案(suggest)された〔Kidney Int 2020; 98(4S): S1-S115〕。エビデンスレベルが低いので推奨(recommend)ではなく、提案(suggest)するというものであった。 以前ご紹介したように、私自身は蛋白質制限食は無効であり、患者に負担をかける分だけ有害であるとここ数年考えていたが(関連記事「"蛋白質摂取=腎機能低下"は常識でも誤謬かも」「高齢者の蛋白質摂取、目指せ!1日1.6g/kg」)、蛋白質摂取量は腎機能の経時変化に対して無関係であるとの認識であった。 しかし、このたび、蛋白質摂取の制限が腎機能を保護するのではなく、「蛋白質摂取こそが腎機能を保護する」という仮説を成立させる、驚くべき観察研究の結果が発表された(Diabetes Care 2022; 45: 35-41)。 腎機能保護に関する食事介入法の概念を一変させる可能性があると考え、ご紹介したい。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×