指針無視のがん検診が招く過剰診断の弊害 「全国がん検診実施状況データブック<2021>」を読んで 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする PSA検査、約8割の市区町村が実施 今年(2022年)4月20日、「全国がん検診実施状況データブック<2021>」が国立がん研究センターから公表された。ここに示されたデータの中で、筆者が大いに問題だと考えたのは、下記の「指針に基づかない検診実施状況」(表1)である。 表1. 指針に基づかない検診実施状況(2020年度の検診実施状況) ここで「指針」というのは「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」(健発第0331058号2008年3月31日厚生労働省健康局長通知別添、2013年3月28日一部改正、2014年6月25日一部改正、2016年2月4日一部改正)のことであり、データブックに示された「指針で定める検診」の内容は下記の通りである(表2)。 表2. 指針に示されている検診内容 (表1、2とも全国がん検診実施状況データブック<2021>) 表1によると、2020年度には全国の1,736市区町村のうち78.1%もの多くが、「指針」に基づかないで、前立腺特異抗原(PSA)検査による前立腺がん検診を実施していた。PSA検査による前立腺がん検診について、国立がん研究センターの「がん検診ガイドライン」では推奨グレードI(推奨度が強いものから弱い順にABCDの4段階の他に、証拠が不十分であるため利益・不利益のバランスが判断できないものとしてIを設定)として、「死亡率減少効果の有無を判断する証拠が現状では不十分であるため、現在のところ対策型検診としては勧められません。任意型検診として行う場合には、受診者に対して、効果が不明であることと、過剰診断などの不利益について適切に説明する必要があります」としている。それにもかかわらず、8割近くもの多くの市区町村がこの検診を実施していたというのは一体どういうことだろうか。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×