「エビデンス・プラクティスギャップ」解消を

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

 精神科医療では薬物療法と心理社会的療法が両輪をなすが、その実践については臨床家ごとにばらつきが大きく、より良い標準的な医療を普及させることが求められている。代表的な精神疾患である統合失調症やうつ病に関しては、治療ガイドライン(GL)が作成されているが、臨床現場では十分に普及していない。例えば、統合失調症においては抗精神病薬の単剤治療がGLで推奨されており、北米や欧州では約80%が遵守している一方、日本では約45%と報告されている。このように、GLで推奨されているエビデンスと臨床現場におけるギャップを「エビデンス・プラクティスギャップ」と呼ぶ。これは精神科だけでなく、他の診療科でも広く認められており、このギャップを解消するための研究が社会実装研究である。社会実装研究は、既にあるエビデンス(何を:What)を社会実装する方法・戦略(どのようにするか:How)を開発・検証する研究だ。社会実装研究の重要性を認識した米国立衛生研究所(NIH)は2005年に研究公募を始め、2006年に雑誌『Implementation Science』が創刊された。近年、日本でもこのような研究が行われるようになってきている。

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