血管性認知症をどう診断するのか

VCIDの改訂診断基準「VasCog-2-WSO基準」を解説

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研究の背景:VCID診断に関するコンセンサスを得るため、診断基準を改訂

 血管性認知症(vascular dementia:VaD)は、認知症の15~20%を占め、2番目に多い原因疾患である。また、脳血管疾患(cerebrovascular disease:CeVD)は認知症患者の最大75%において、認知機能および機能の低下に寄与している可能性がある。その重要性と予防への期待にもかかわらず、この分野の研究と臨床実践の進展は限定的である。理由の1つは、普遍的に認められ、明確な運用が可能な診断基準が存在しないことである。

 国際血管行動・認知障害学会(VasCog)のワーキンググループは、2014年に包括的で実用可能な診断基準を発表したが、その後のこの分野における進展を踏まえ、改訂が必要となった。そこで、VasCogの診断基準を更新し、血管性認知障害および認知症(vascular cognitive impairment and dementia:VCID)の診断に関するコンセンサスを得るため、VasCog-2-WSO基準を発表したので紹介する(JAMA Neurol 2025年9月16日オンライン版)。

橋本 洋一郎(はしもと よういちろう)

済生会熊本病院脳卒中センター特別顧問

1981年鹿児島大学医学部卒・熊本大学第一内科入局、1984年国立循環器病センター、1987年熊大第一内科、1993年熊本市民病院神経内科、2022年より現職。専門は脳梗塞、頭痛、禁煙支援、リハビリテーション、医療連携。急性期病院の医師として脳卒中診療ネットワーク構築の中で多彩な活動を行っている。日本脳卒中学会名誉会員、日本頭痛学会・日本禁煙学会の理事。

橋本 洋一郎
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