ドクターズアイ 鈴木重明(脳神経内科)

「見えづらさ」で始まる認知症

後部皮質萎縮症の診断過程や背景病理は

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ
〔編集部から〕気鋭のドクターが独自の視点で論考を展開する人気連載「Doctor's Eye」。今月から東京都立神経病院脳神経内科/副院長の鈴木重明氏の監修の下、同院の先生方に担当制で執筆していただくことになりました。脳神経内科領域を中心に、話題の最新論文を日常臨床の立場で徹底解説していただきます。

研究の背景:非定型な認知症、縦断的研究は少ない

 後部皮質萎縮症(posterior cortical atrophy:PCA)は、後頭葉・頭頂葉の萎縮と視覚認知障害を特徴とする変性疾患である。臨床現場で遭遇する機会は多くはないが、その特異的な臨床症状や経過は、他の認知症とは一線を画すインパクトがある。背景病理は、大部分がアルツハイマー型認知症(AD)であるが、いわゆる「物忘れ」で発症するADとは異なる非定型な病型に位置する。

 これまでPCAに関する横断的研究は幾つかあるものの、前駆期症状や診断過程について言及された縦断的研究は少なかった。そこで、PCAに関するこれまでの縦断的研究の中では最大の規模であり、日常臨床でのエッセンスがちりばめられた論文を紹介する(Neurology 2025; 13; 104: e213559)。

【監修】鈴木重明(すずき しげあき)

東京都立神経病院脳神経内科、副院長

1968年東京生まれ。慶應義塾高校から慶應義塾大学医学部に進学し、1993年卒業。ニューヨーク医科大学留学、慶應義塾大学准教授(内科学・神経)を経て、2025年4月より現職。重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン(日本神経学会)、がん免疫療法ガイドライン(日本臨床腫瘍学会)、スタチン不耐に関する診療指針(日本動脈硬化学会)の作成メンバー。都立神経病院では自己免疫ラボを立ち上げ、重症筋無力症、炎症性筋疾患、免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連有害事象など自己免疫疾患の臨床研究を展開中。

鈴木重明

【執筆】角南陽子(すなみ ようこ)

東京都立神経病院脳神経内科医長

1978年東京生まれ。高校卒業後、某音楽大学の器楽科ピアノ科に入学。在学中に腰椎椎間板ヘルニアになり、ペダルが踏めなくなったことを契機にピアノを断念し、医学に転向。2005年医学部卒業後初期研修を経て、2007年東京都立神経病院脳神経内科に後期研修医として就職し、現在同院医長を務める。サブスペシャリティとして、高次機能障害では進行性失語や失音楽について症例集積を行い、国際学会等で講演を行っている。また自律神経障害である体位性頻脈症候群の病態解明に力を入れており、研究論文やreviewを報告。昨今は体位性頻脈症候群のレジストリ研究の立ち上げ活動に参加している。

角南陽子
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