<第8回>高齢者の認知機能が低下してきた徴候とは?

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

症例:83歳女性

一人暮らしだが,クリニックへ長年通院中で歩いて来院している。血圧は内服薬で長年安定していたが,最近デーサービスで測定する収縮期血圧が180mmHg以上であることが続いている...

認知機能が低下した徴候をいち早く知ることが高齢者診療のカギ

 年齢のみで「高齢者」とくくることは望ましくなく,認知機能やADL(Activities of daily living) が保たれた"一般的な高齢者"に対しては,非高齢者と同様の介入で問題ないでしょう。一方,"一般的な高齢者"の認知機能やADLが徐々に低下して"臨床的な高齢者"となれば,非高齢者とは異なる様々な背景を踏まえた介入が求められると筆者は考えています(第1回)。"臨床的な高齢者"を捉えるには「高齢者の認知機能やADLが徐々に低下してきたことをどう認識するか」が第一歩です。

 特に,ADLが保たれていながらも認知機能低下に伴って買物,献立,洗濯,炊事,電話,金銭管理などの能力であるIADL(Instrmental activities of living)に障害が出てくる認知機能が徐々に低下してきた高齢者を認識することが必要です。こうした高齢者は,診療上は長谷川式やMMSEなどの認知機能検査を行うタイミングにあり,マネジメント上は介護保険に関する情報提供を行うタイミングでもあります。

 本稿では,その具体的な方法を考えてみます。

木村琢磨先生

木村 琢磨(きむら・たくま)

北里大学医学部総合診療医学・地域総合医療学准教授,北里大学東病院 在宅・緩和支援センター長。

長野県生まれ。東邦大学医学部卒業,国立東京第二病院(現国立病院機構東京医療センター)で初期研修,国立病院東京医療センター総合診療科で後期研修,国立病院機構東埼玉病院総合診療科などを経て現職。

高齢者の臨床は「さまざまな症候・疾患への対応」「専門診療科への適切なコンサルテーション」「家族」「地域」を念頭に置く,「多職種との恊働」「継続性」を踏まえるなど総合診療医の持ち味を生かせる,やりがいのある領域であると考えています。本連載では,高齢者の臨床について横断的に考えていきたいと思っておりますので,先生方からの忌憚ないご意見をお待ちしております。

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