研究の背景:非弁膜症性心房細動を伴う急性期脳梗塞/一過性脳虚血発作における早期抗凝固療法の有効性は不明 心原性脳塞栓症の二次予防として抗凝固薬をいつから開始するかは30年以上にわたって議論され、ベネフィットとリスクのバランスの中で変化してきた。実際にどのように抗凝固療法を行うかは地域、病院、あるいは医師によって大きく異なる。 心原性脳塞栓症急性期にワルファリンや直接作用型経口抗凝固薬(direct oral anticoagulants; DOAC)を用いることで発症後早期の脳梗塞再発が減ると考えられる一方、同時期に多い出血性梗塞の悪化が懸念される。わが国のガイドラインでは「2週間以内の開始」が推奨されており、欧州では「1-3-6-12 day rule」(Eur Heart J 2018 ; 39: 1330-1393)が提唱されているが、いずれもエビデンスに基づくものではない。 また、これまでのところ非弁膜症性心房細動(NVAF)を伴う急性期脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)に対する早期抗凝固療法の有効性は不明のままである。RELAXED研究は、DOACであるリバーロキサバンを開始したNVAFを伴う急性期脳梗塞/TIA患者における再発性脳梗塞および大出血のリスクを評価すること、リバーロキサバンの投与開始時期とイベント発現および梗塞サイズの関連性を評価し、リバーロキサバンの至適投与開始時期を検討するために行われた。今回、その解析結果が発表された(PLoS ONE 2019; 14: e0212354)。