事前のアルテプラーゼなしで非劣性示す

大血管閉塞による急性期脳梗塞への血管内血栓回収療法

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする
感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

研究の背景:EVT前のアルテプラーゼ静注療法のベネフィットとリスクを検討

 発症6時間以内の大血管閉塞(large vessel occlusion;LVO)を原因とする急性期脳梗塞症例のうち、血管内血栓回収療法(endovascular thrombectomy;EVT)/機械的血栓回収療法(mechanical thrombectomy;MT)が適応となる症例ではEVT/MTを行うべきであることが2015年に発表されたランダム化比較試験の結果から示された。この結果を受けて米国心臓協会(AHA)/米国脳卒中協会(ASA)は急性期脳梗塞治療ガイドラインを改訂した。ただし、遺伝子組み換え型組織プラスミノーゲンアクチベータ(recombinant tissue plasminogen activator;rt-PA)であるアルテプラーゼの静注療法が適応となる症例に対しては、同静注療法を施行した上でEVTを行うべきとしている。

 これまで急性虚血性脳卒中では、EVT施行前にアルテプラーゼを静脈内投与するベネフィットとリスクに関する確実なエビデンスがなかった。今回紹介するDIRECT-MT試験は、EVT前にアルテプラーゼ静注療法を行う群と行わない群に分けてベネフィットとリスクが検討された非劣性試験である(N Engl J Med 2020; 382: 1981-1993)。

橋本 洋一郎(はしもと よういちろう)

熊本市民病院神経内科。1981年鹿児島大学医学部卒・熊本大学第一内科入局、1984年国立循環器病センター、1987年熊大第一内科、1993年熊本市民病院神経内科。専門は脳梗塞、頭痛、禁煙支援、リハビリテーション、医療連携。急性期病院の医師として脳卒中診療ネットワーク構築の中でいろいろな活動を行っている。日本脳卒中学会・日本頭痛学会・日本禁煙学会の理事。

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする