「骨粗鬆症リエゾンサービス」の独善

医療者の志だけに依存する医療には限界

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

研究の背景:日本骨粗鬆症学会が12年前に立ち上げたプロジェクト

 生ハムとメロンをつなげることに抵抗がある。これは私の生ハムメロンに対する嗜好によるものである。「リエゾン」という「つなぎ、連携」を意味するフランス語にも抵抗がある。これは私の生来の協調性の欠如によるものである。

 協調性の欠如が災いしてか、私は今まで日本骨粗鬆症学会において、評議員として幾つかの問題点を提起してきたが、スルーされてきた。ロモソズマブ(商品名イベニティ)の心血管系有害事象を警告する学会声明を出すべきと主張したがかなわず、この時は米国骨代謝学会(ASBMR)と薬害オンブズパースン会議が警告を出してくれた(関連記事「日本の悲劇を世界に広げない!」)。今回のテーマについても問題提起はしているが、微妙ですねー。

 骨粗鬆症リエゾンサービス(Osteoporosis Liaison Service;OLS)は、2007年に英国で始まって欧米に広がった骨折リエゾンサービス(Fracture Liaison Service;FLS)にならって、2011年に日本骨粗鬆症学会が立ち上げた独自のプロジェクトである。

 多職種間や施設間の連携により、骨粗鬆症患者に対する治療の開始や継続を促進する取り組みで、全国の医療機関や地域に広がりつつある。私の周りにも、OLSのチームリーダーとして活躍している先生が複数いる。彼らの医療者としての高邁な志には、ただただ頭が下がる。

 この先生方の献身的な活動を12年間にわたって学会はどのように支援してきたのか。今回紹介する論文は、同学会理事の鈴木敦詞氏によるOLSの総説である(Endocr J 2023年4月4日オンライン版)。

川口 浩(かわぐち ひろし)

1985年、東京大学医学部医学科卒業。同大学整形外科助手、講師を経て2004年に助教授(2007年から准教授)。2013年、JCHO東京新宿メディカルセンター脊椎脊髄センター・センター長。2019年、東京脳神経センター・整形外科脊椎外科部長。臨床の専門は脊椎外科、基礎研究の専門は骨・軟骨の分子生物学で、臨床応用を目指した先端研究に従事している。Peer-reviewed英文原著論文は320編以上(総計impact factor=2,011:2022年9月現在)。2009年、米国整形外科学会(AAOS)の最高賞Kappa Delta Awardをアジアで初めて受賞。2011年、米国骨代謝学会(ASBMR)のトランスレーショナルリサーチ最高賞Lawrence G. Raisz Award受賞。座右の銘は「寄らば大樹の陰」「長いものには巻かれろ」。したがって、日本の整形外科の「大樹」も「長いもの」も、公正で厳然としたものであることを願っている。

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