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「いんきんたむし」の自己診断は厳禁

 2011年08月19日 11:04

 股間に激しいかゆみを起こす「いんきんたむし」。水虫と同じカビの一種が原因菌となって発症する。カビだけに、高温多湿の時期は活動期に当たり、感染者にとっては厄介だ。

女性もかかる

 いんきんたむしは、正式には「股部白癬(はくせん)」と言う。原因菌は、水虫などを起こす白癬菌。繁殖力は非常に強く、保菌者が脱ぎ捨てた下着などからも容易に感染する。男性だけの病気と思われがちだが、菌が付着すれば女性でも発症する。

 慶応義塾大学医学部(東京都)皮膚科の西川武二教授は「最初は発疹(ほっしん)が片側の内またに堤防状に盛り上がってきて、激しいかゆみを起こし、そのうち、反対側の内またにも広がり始めます」と話す。

 診断は、皮膚科で発疹個所の皮膚を採って顕微鏡で観察すれば簡単にでき、治療も菌を殺す塗り薬を使えば3~4週間で治る。問題なのは、恥ずかしさから自己診断によって市販の薬を使い、失敗した揚げ句、悪化させ、皮膚科を訪れる人が後を絶たないことだ。

高齢者はがんのことも

 いんきんたむしであっても、薬を付けてひりひりするようなときは、傷があることが考えられる。汚れた手で薬を塗ると、別のばい菌が入り込み、症状悪化につながる。

 また、陰嚢(いんのう)にいんきんたむしはできにくく、陰嚢の湿疹(しっしん)はアレルギーに起因することが多い。この場合、ステロイド薬を塗るのが正しいが、厄介なのはステロイドが白癬菌の好物であるということ。

 「ステロイド含有の市販薬を買い求めて治療していると、いんきんたむしの症状はどんどん広がり、悪化していきます」と西川教授。

 一方、パジェット病という高齢者に多い皮膚のがんがあるが、この病気の初期症状は陰部の湿疹とかゆみで、いんきんたむしなどの症状と似ている。当然、菌を殺す塗り薬でもステロイド薬でも、症状は改善されない。

 自己診断による誤診が、がん発見を遅らせ、命にかかわることもあり得る。パジェット病の診断は、皮膚科医ならば初期の段階でできるので、特に60歳以上の人は世間体にこだわらず、皮膚科を受診してほしい。

1997年9月取材(記事内容は取材当時のもの)

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