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夜中に無意識に飲食、若い女性に多い「睡眠関連摂食障害」

 2014年07月17日 06:00

 朝起きて、覚えのない食事の形跡を見つけたことはないだろうか。こうした経験がある人は、睡眠関連摂食障害かもしれない。夜中に眠ったまま起き上がり、冷蔵庫から食べ物を取り出して口に運び、食べ終わるとまた床に就くといった症状が特徴で、若い女性に多いといわれる。米国ではSREDともNSREDとも呼ばれているこの病気について、東京医科大学睡眠学講座の駒田陽子准教授に聞いた。

高血圧や糖尿病につながる恐れ

 睡眠関連摂食障害は、20年ほど前から診断がつくようになった比較的新しい病気。一般にはあまり知られてないが、睡眠の専門医の間で関心が高まっているという。

 症状は夜、眠りに入って1~2時間経過した頃に起こることが多く、昼寝ではほとんど見られない。パン、ラーメン、チョコレートなどのほか、ペットフードや化粧品などを食べる。台所で湯を沸かし、ケガやヤケドをすることもあるようだ。

 一連の行動はほとんど無意識で、朝起きた時に食べ散らかした形跡を見つけたり、食欲がなく、昼間も眠気が強かったりするので異変に気付くことが多いという。

 駒田准教授は「体重が増え、高血圧や糖尿病につながる可能性が高く、奇異な行動を抑えられないことからうつ状態になる場合もあり、心理的苦痛は強い」と指摘する。

原因は生活リズムの乱れや睡眠薬など

 駒田准教授らが19~25歳の約3,000人を対象に行ったインターネット調査では、5%が「睡眠中に無意識に飲食したことが過去にある」と答えている。また、2003~11年に睡眠関連摂食障害と診断された60人について調べたところ、女性が7割近くを占め、発症は平均26歳頃、受診は32歳頃だった。

 「原因については、生活リズムの乱れや睡眠不足のほか、睡眠薬の飲み過ぎなどによる影響が考えられます。患者さんの3~4割は、睡眠状態から不完全な状態で覚醒する素因があるといわれています」と駒田准教授。

 治療法はまだ定まっておらず、患者の状態を見ながら薬を処方するなど手探りの状況だ。駒田准教授は「予防のためには、決まった時間に就寝し、十分に睡眠を取るなど体内のリズムを規則正しくすることが大切です」と助言している。

 受診する場合は日本睡眠学会の公式サイトなどを参考に、睡眠医療認定医のいる施設が勧められる。

(編集部)

2013年7月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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