太ももや膝などの静脈に血の塊(血栓)ができる深部静脈血栓症。血流に乗って血栓が肺の動脈で詰まると呼吸困難を引き起こすほか、最悪の場合は死亡することもある。"エコノミークラス症候群"とも呼ばれているこの病気だが、米国胸部医学会が改訂した診療ガイドライン(「CHEST」2012; 141: 2 supple)では、深部静脈血栓症の危険因子として経口避妊薬の使用や窓側席の利用、高齢、妊娠などを挙げる一方、エコノミークラス席を利用することで引き起こされるという説を支持する確固たるエビデンス(科学的根拠となる研究結果)は存在しないとして、いわゆる"エコノミークラス症候群神話"を否定した。