多くの人は自分や家族の妊娠を知って、初めて出生前診断の存在を知ることになる。日本では、妊娠や子育てそのものへの社会の受け皿が十分ではなく、こうした前提の下に出生前検査や診断に関して、当事者が果たして十分な判断が行える環境が整うのかを危惧する意見もある。一方、社会での議論に当たり、出生前診断について考える機会を多く持ち、障害を抱える人たちに寄り添ってきた当事者らの意見を聞き、その生き方を少しでも理解、共有することも欠かせない。11月13日に行われた日本産科婦人科学会公開シンポジウム「出生前診断―母体血を用いた出生前遺伝学的検査を考える―」における日本ダウン症協会の玉井邦夫理事長の発言を、ほぼ全文紹介する。「なぜ、ダウン症にメディアが注目するのか」について「彼らがしっかりと生きるから」と自らの考えを打ち明けた玉井理事長。出生前診断が今後、他の病気にも応用されたとき、「どんなDNAの人なら生まれてきていいのか」を考えるには教育などの存在が欠かせないと訴える。(カッコ内は編集部による補足)(関連記事)