米国では、40歳以上の女性を対象としたマンモグラフィー(乳房レントゲン撮影)による乳がん検診の普及から約30年が経過した。以前は診断が困難だった非浸潤性乳管がん(最も早期の乳がん)も多く発見できるようになり、マンモグラフィー検診は乳がんによる死亡率低下に大きく貢献しているはず―。しかし、米オレゴン健康科学大学のArchie Bleyer氏らは「1976~2008年の米国のデータを検討した結果、早期がんの診断件数は予想通りマンモグラフィー検診の普及により倍増していたが、進行がんの診断件数の減少はわずかにとどまっており、マンモグラフィー検診による過剰診断の懸念を払拭することができない」と、11月22日発行の米医学誌「New England Journal of Medicine」(2012; 367: 1998-2005)で指摘した。過剰診断は推計で年間5万人以上に上るという。