脂質異常症は血清脂質値,つまり,LDLコレステロール(LDL-C),トリグリセライド(TG)が異常に高値,またはHDLコレステロール(HDL-C)が低値になった病態を言います。これは動脈硬化の重要なリスクであり,放置しておくと動脈硬化を進行させ,心筋梗塞や脳卒中を発症しやすくします。 食事の注意点としては脂質異常症のタイプによって異なりますが,摂取エネルギー量の適正化をします。肥満の人は標準体重まで下げるようにしましょう。 栄養素配分として,脂質は総エネルギー比の20~25%(獣鳥性脂質を少なくして,植物性・魚類性脂質を多く取る),また,炭水化物は60%,蛋白質は15~20%(獣鳥肉より魚肉,大豆蛋白を多く取る)を適正にします。コレステロール含有量の多い食品の摂取や頻度をコントロールします。 高LDL-C血症が持続する場合は,特に脂質の質に注意します。動物性脂肪(バター,ラード,ヘッド,肉の脂身,ハム,ベーコン,生クリームなど)を減らして魚の脂や植物性脂肪を多く取るようにしましょう。 食物繊維はLDL-C値を低下させる作用があるので,未精白の穀類,豆,海藻,野菜,キノコなどをしっかり取るようにします。また高TG血症が持続する場合は,炭水化物(ごはん,パン,めんなど),アルコール,菓子類,清涼飲料水などの制限をしましょう。