健康な高齢者が抗菌薬を使用しても、認知症リスク増加との関連はなかったと、米国などの研究グループが発表した。 抗菌薬は、健康や認知機能の維持に重要な役割を担うとされる腸内細菌のバランスを崩す場合がある。また、腸内細菌の乱れは認知機能の低下と関連することが指摘されているが、抗菌薬と認知症との直接の関係は不明だった。 研究グループは、オーストラリアの健康な高齢男女1万3571人(平均年齢75.0歳)の認知機能検査や抗菌薬使用の有無などに関するデータを収集。両者の関連を検討した。 調査から最初の2年間で、認知機能の低下などは見られなかった。その後平均4.7年追跡したところ、461人が認知症を、2576人が認知症ではないが認知機能が低下した状態と判定された。 解析の結果、抗菌薬の使用者は非使用者と比べ、認知症や認知機能低下状態に至るリスクの上昇が認められなかった。抗菌薬の使用頻度や長期使用の有無、抗菌薬の種類ごとに見ても、同様の結果だった。(メディカルトリビューン=時事)