季節に関係なく症状が続く、通年性アレルギー性鼻炎。2人に1人が悩まされているとされる。上福岡総合病院(埼玉県ふじみ野市)耳鼻咽喉科・頭頸部外科の小柏靖直部長は「通年性アレルギー性鼻炎では、くしゃみや鼻水、鼻詰まりといった症状が慢性的に続くため、睡眠障害や集中力の低下など生活の質に影響を及ぼします」と話す。 ▽花粉症との違い 通年性アレルギー性鼻炎の主な原因は、ダニやハウスダスト、ペットの毛など身近な室内アレルゲン(アレルギーの原因物質)。一方、花粉症はスギやヒノキなど特定の季節に飛散する花粉が原因で、発症時期が限定される。 通年性アレルギー性鼻炎の原因として多いのが、ダニアレルギーで、ダニのフンや死骸に含まれるタンパク質がアレルゲンとなる。このアレルゲンを吸い込むことで過剰な免疫反応が起こり、くしゃみや鼻詰まり、鼻水、目のかゆみ、せきなど多様な症状が表れる。小柏部長によれば、花粉症と異なり、一年を通してアレルゲンにさらされるため症状が持続しやすいという。 ▽ダニアレルギーへの対策 ダニアレルギーの原因は、ヤケヒョウヒダニやコナヒョウヒダニなどの種類だ。これらのダニは寝具やソファなどに一定数いるため、完全に取り除くことは難しい。しかし、「こまめに掃除や換気をする、防ダニグッズを使う、高温多湿を避けるなど適切な対策を取ることで症状を緩和できます」。 治療は〔1〕アレルゲンの除去〔2〕症状を抑える薬物療法〔3〕体を徐々にアレルゲンに慣れさせていくアレルゲン免疫療法〔4〕手術療法―が基本。 アレルゲン免疫療法には皮下に注射する皮下免疫療法と、舌下に投与する舌下免疫療法があり、「治療期間は数年単位になりますが、長期間アレルギー症状を抑える効果が期待できます」。 舌下免疫療法は、スギ花粉とダニによるものが保険適用となっている。薬物療法やアレルゲン免疫療法で効果が不十分な場合は、手術治療も選択肢となる。 くしゃみや鼻水、鼻詰まりが直接的に命に関わることはないとした上で、小柏部長は「本人は、だるさや集中力低下に悩まされます。症状が続くようなら、医療機関を受診してください」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事) ◇ ◇ 上福岡総合病院の所在地 〒356―0011 埼玉県ふじみ野市福岡931 電話049(266)0111