認知機能低下に本質的な違いー100歳以上、アルツハイマー病と比較

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 日本は、世界でも有数の超高齢社会。慶応大医学部神経内科の西本祥仁専任講師らは、100歳以上の「百寿者」の認知機能低下がアルツハイマー病と本質的に異なることを明らかにした。

▽アルツハイマーになりにくい百寿者

 百寿者は年々増えており、約9万5000人(2024年)に上る。百寿者の約6割で著明な認知機能の低下が生じる。

 ただし、「百寿者では重度のアルツハイマー病をほとんど見ることがありません。原因とされるアミロイドβという老廃物が脳内に蓄積されにくい、つまりアルツハイマー病になりにくい体質なのです」と西本医師。

 西本医師らは、百寿者638人の認知機能を、もの忘れ外来などで用いられるミニメンタルステート検査(MMSE)で測定し、アルツハイマー病患者391人の成績と比較した。MMSEは、質問や指示を出す形式の簡易な認知機能テストで、認知機能をさまざまな角度から11項目で評価する。

 その結果、MMSEの8番目の項目である「口頭での3段階指示の遂行」(Q8)の点数が、アルツハイマー病患者では早期から低下したが、百寿者では高いレベルで長く保たれた。Q8では「右手にこの紙を持ってください。それを半分に折り畳んでください。それを床に置いてください」という一連の指示に正確に従えるかを調べる。目や耳から入ってきた複数の情報を理解し、実行する能力を見ることができる。

▽メカニズムも異なる

 さらに百寿者の遺伝情報を解析した結果、百寿者でQ8の認知機能が保たれるのは、脳の神経間の情報伝達を行う「シナプス」と呼ばれる部分を調整する分子の遺伝情報が関係することが分かった。加齢に伴う認知機能低下は、アルツハイマー病と分子学的にも異なるメカニズムで生じている可能性が示された。

 西本講師は「Q8は加齢に伴う認知機能低下とアルツハイマー病を簡便に見分ける新たな指標になる可能性があります。Q8レベルの認知機能を保つには、社会活動にかかわったり、周りの人と会話をしたりすることが大切でしょう」と話す。(メディカルトリビューン=時事)

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 慶応大医学部の所在地 〒160―8582 東京都新宿区信濃町35 電話03(3353)1211(病院代表)

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