自覚症状がない「隠れ脳梗塞」と、脳梗塞の前触れ発作といわれる「一過性脳虚血発作(TIA)」。どちらも早期治療で脳梗塞が防げる可能性がある。森山記念病院(東京都江戸川区)脳卒中センターの朝来野佳三センター長に聞いた。 ▽後遺症リスク抑える 脳梗塞は、脳の血管が詰まり血流が途絶えることで脳細胞が死んでしまい、手足のまひや言語障害などが表れる病態。原因は大きく分けて、〔1〕動脈硬化により血管が狭まり、血栓ができて血流が遮断される〔2〕心房細動に代表される不整脈によりできた血栓が脳の血管を詰まらせる―の二つがある。 「代表的な症状として、片方の手足のまひやしびれ、ろれつが回らない、言葉が出てこないなどが挙げられます」と朝来野センター長は説明する。 治療法は、血栓を溶かす薬剤を点滴する血栓溶解療法と、カテーテルを血管内に入れ詰まった血栓を取り除く血管内治療(脳血栓回収術)がある。「血栓溶解療法は発症後4.5時間以内、血管内治療は6時間以内(場合によっては24時間以内)に開始することで、後遺症リスクが抑えられる可能性があります」 こうした脳梗塞の発作が起きる前に、隠れ脳梗塞やTIAの段階で経口薬などによる早期治療が行えれば、後遺症リスクはさらに抑えられる可能性が高い。 ▽症状あれば救急車を 隠れ脳梗塞は「無症候性脳梗塞」と呼ばれる。「自覚症状がなく、脳ドックを受けたり、頭痛などで受診したりして磁気共鳴画像(MRI)検査により発見されるケースがほとんど」。精密検査で原因を特定し、治療が行われるのが一般的だ。 一方、TIAは「一時的に血管が詰まり、脳梗塞と同じ症状が表れますが、10~20分程度で消えてしまうため、疲れや体調不良と誤認されがちです。中でも、首の太い血管が狭くなり、ここに血栓が詰まると、一時的に片方の目の視界が暗くなります(一過性黒内障)。この場合、後に重大な脳梗塞が起きる可能性が高いので要注意です」。 TIAの段階でもためらわず救急車を呼び、すぐに救急外来か脳神経外科を受診すること。「高血圧、糖尿病、脂質異常症、不整脈(心房細動)は脳梗塞のリスクになります。健康診断などで見つかったら、生活習慣を見直したり適切な治療を受けたりして、脳梗塞予防を心掛けましょう」と、朝来野センター長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事) ◇ ◇ 森山記念病院の所在地 〒134―0081 東京都江戸川区北葛西4の3の1 電話03(5679)1211(救急診療)