赤血球つくる力を補う―腎性貧血の治療

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 腎臓というと、一般的に「尿をつくる」イメージがあるが、血をつくる上でも欠かせない臓器だ。腎臓の働きが低下すると赤血球をつくる力が弱まり、貧血の一種である「腎性貧血」状態になる。しらとり病院(大阪府羽曳野市)の谷川祐二内科医長は「治療では赤血球をつくる力を補うことが重要だ」と話す。

▽倦怠感、息切れ

 腎性貧血は、高血圧などの生活習慣病や腎臓の病気によって腎臓の機能が低下する慢性腎臓病(CKD)に伴って起きる。腎臓には、赤血球をつくるために必要なホルモン「エリスロポエチン」を分泌する働きがあるが、さらに慢性腎臓病が進行した慢性腎不全では、このホルモンの産生量が減少する。

 「エリスロポエチンが低下すると、骨髄での赤血球の産生ができなくなり、酸素を体の各組織に運搬する力が弱まるため、さまざまな不調が現れます」

 腎性貧血の症状はさまざまで、全身倦怠(けんたい)感、息切れ、動悸(どうき)やめまい、集中力の低下などが一般的。加齢や他の疾患の症状と共通する部分が多いため、「なんとなく調子が悪い」「年のせいだろう」と見過ごされることも少なくない。

▽注射と内服

 慢性腎臓病ではエリスロポエチンが不足するため、「赤血球造血刺激因子製剤(ESA)」の注射が基本となる。これにより、骨髄での造血が促されて赤血球数が増加する。また、赤血球をつくるためには鉄分も不可欠で、補助的に鉄剤が投与されることもある。

 谷川医師によると、最近は、内服する「HIF―PH阻害薬」も従来の治療に加わり、標準的な選択肢として導入が進んでいるという。HIF―PH阻害薬は、体が自然にエリスロポエチンをつくるように働きかける薬で、赤血球の生成を促す。鉄の利用効率を高める効果もあり、貧血症状の改善が期待できる。

 「腎性貧血は見逃されがちですが、QOL(生活の質)に直結する重要な病態です。早めに発見し、適切な治療を受けることが大切です」と谷川医師はアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)

   ◇   ◇

 しらとり病院の所在地 〒583―0857 大阪府羽曳野市誉田3の15の27 電話072(958)5566

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