生活習慣病の引き金に―異所性脂肪
皮下脂肪や内臓脂肪と異なる第三の脂肪と呼ばれる「異所性脂肪」。脂肪細胞がない臓器や組織に蓄積し、生活習慣病の引き金になる。九州大病院(福岡市)内分泌代謝・糖尿病内科の小川佳宏教授に話を聞いた。
▽自覚しにくい脂肪
体脂肪には、二の腕やおなか周りなど皮膚の下にたまる皮下脂肪と、胃や腸の周辺に蓄積する内臓脂肪がある。いずれも中性脂肪を蓄え、体温調節やエネルギー保存の役割を担うが、過剰に蓄積されると関節痛や睡眠時無呼吸症候群、糖尿病や脂質異常症などのリスクを招く。
「脂肪細胞が本来存在しない臓器や組織にたまるのが異所性脂肪です。皮下脂肪に蓄積しきれなくなった余剰分が内臓脂肪になり、それでも余ると肝臓や筋肉、心臓周辺、膵臓(すいぞう)などに沈着します」と小川教授は説明する。
皮下脂肪は外見から、内臓脂肪も腹囲測定などで把握できるが、「異所性脂肪は見た目に分かりにくく、自覚しづらいのが特徴です」。
過剰な異所性脂肪は肝臓では脂肪肝、筋肉では脂肪筋を招き、脂肪毒性を引き起こす。脂肪筋は血糖を下げるインスリンの働きを低下させ、糖尿病リスクを高める。さらに、動脈硬化や高血圧など、多くの生活習慣病につながる。
▽生活習慣の改善が鍵
注意が必要なのは、運動習慣のない中年以降の男性と、閉経後の女性だ。「日本人は内臓脂肪がたまりやすく、痩せて見えても異所性脂肪が蓄積しやすいことが分かっています。おなかだけ出ている中年太りは特に注意が必要です」
異所性脂肪は、人間ドックでの超音波エコー検査やCT検査で把握できる。体重の急増や肝機能検査値(ALT、AST)の上昇も、異所性脂肪の蓄積を示している可能性がある。
予防や対策には生活習慣の改善が不可欠だ。「ただし、急激な減量はリバウンドのリスクがあり、骨や筋肉への悪影響も懸念されます。ストレスをためず、無理なく栄養バランスの取れた食事と運動を継続することが大切です。自分の体の声に耳を傾け、食べ過ぎや飲み過ぎを控えましょう」と、小川教授はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)
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