楽器演奏で認知機能向上―長期にわたり効果
楽器演奏が高齢者の認知機能の維持に役立つ可能性がある。近年、楽器演奏と認知機能の維持・向上との関連が報告される中、京都大(京都市)の積山薫名誉教授の研究グループは、高齢者の楽器演奏による脳活動への影響を調査。長期にわたり効果が続くことを報告した。
▽言語記憶が向上
楽器の練習が加齢による脳機能の低下を防ぐ手段として注目されていたが、「学術的な裏付けは不十分でした」と積山名誉教授。
そこで、京都市内の高齢者福祉施設に通う高齢者63人(平均年齢73歳)を対象に、鍵盤ハーモニカを演奏するグループ30人と演奏しないグループ33人に無作為に分け、演奏グループには、週1回1時間のグループレッスンを4カ月間実施。自宅でも自主練習をしてもらい、4カ月後には合奏できるまでになったという。
両グループの実施前後の認知機能検査の得点を比較した結果、演奏グループでは言語記憶の成績が向上していた。積山名誉教授は「言語と楽器演奏は、どちらも脳の聴覚言語系で情報が処理される共通点があるためではないでしょうか」と話す。
▽4年後も効果
さらに研究グループは、4年後の追跡調査を実施。同好会を作って演奏を続けた継続グループと、やめた非継続グループを比較したところ、非継続グループでは情報を一時的に記憶して処理・活用するワーキングメモリーの成績が低下し、運動機能の調節に関わる「被殻(ひかく)」と呼ばれる脳部位の萎縮が確認された。継続グループではこうした加齢による変化は見られなかった。
明確なメカニズムは不明だが、「曲をうまく弾けるようにする反復練習が、脳機能を維持したと考えられます。高齢期における楽器演奏の脳機能への影響を長期にわたり調べた実証研究は、これが初めてです」
楽器演奏を始める高齢者に向けて、積山名誉教授は「例えば鍵盤ハーモニカは腹式呼吸で息を吹き込み、息の量や吹き込み方で音色が変わる味わい深さがあります。初心者にも取り組みやすい楽器の一つです。仲間と一緒にぜひ楽しく楽器をやってみませんか」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)









